人呼んで「近鉄道路」 築95年の橋がついに架け替え開通! 走りにくかった“鉄道時代の遺構”が消滅
三重県津市の「津興橋」の新橋が一部完成し、22日(月)に供用を開始。この道路は「近鉄道路」と通称されています。
鉄道時代の“遺構”完全消滅! 新橋が開通
三重県は2025年12月8日、架け替えを進めていた津市の「津興橋」(つおきばし)の新橋が一部完成し、22日(月)に供用を開始すると発表しました。
同橋は市街地を流れる岩田川に架かる市道(塔世橋南郊線)の橋です。国道23号の海側に並行し、1日約1万6000台の交通量がありますが、老朽化に加え、橋の中央に分離帯があって走りにくい、橋脚と橋脚の間が狭いといった治水上の課題などもあり、2016年度から架け替え事業が行われています。
2020年に並行して仮橋が完成し、交通を切り替え本橋を撤去、そこから新橋の建設工事を進めてきました。
新しい橋は車道2車線の両側に路肩、歩道を有し、全体の幅は9.15mから15.3mに広がっています。また高さが2.23m嵩上げされ、車線を狭めていた中央の分離帯もなくなりました。なお、南側の歩道だけは引き続き工事が進められ、2026年度の供用予定です。
この津興橋は1930年に「伊勢電気鉄道」(伊勢電)の鉄道橋として開通しています。旧橋の中央の分離帯は、複線だった鉄道時代の名残とも呼べるものでした。
伊勢電は岐阜県の大垣から伊勢まで140km以上に及ぶ路線を有した私鉄で、現在の養老鉄道、近鉄名古屋線の一部、近鉄鈴鹿線の前身にあたります。
戦前の伊勢電は、関西から伊勢方面の輸送で国有鉄道、参宮急行電鉄(現・近鉄大阪線、山田線)としのぎを削りましたが、経営破綻により参宮急行電鉄に吸収され、やがて近鉄の路線になりました。
しかし、近鉄名古屋線とほぼ並行する津から伊勢にかけての旧伊勢電のルートはローカル線(近鉄伊勢線)となり、1961年に廃止。道路に転用されて以降は「近鉄道路」と通称されています。





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