巨大船を襲う海賊どう撃退する? 有刺鉄線より凶悪な「カミソリ」と謎の「開かずの部屋」の正体

巨大な商船を狙う海賊の脅威。映画の話ではなく、現代の海でも現実に起きている問題です。丸腰の船は、いったいどうやって身を守っているのでしょうか。そこには意外とアナログで、かつ凶悪な工夫がありました。

いざという時の「開かずの部屋」とガードマンの掟

 それでも海賊に侵入されてしまった場合、乗組員はどうするのでしょうか。

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「レザーワイヤー(カミソリワイヤー)」のアップ。これを船体の周囲に張り巡らす(画像:PIXTA)

 実は船の中には、いざという時のための「シタデル(要塞)」と呼ばれる避難部屋が用意されています。

 機関室の近くなど船の奥深くにあり、鋼鉄の扉で閉ざされた頑丈なパニックルームです。内部には数日分の食料や水、簡易トイレ、そして外部に助けを求めるための独立した通信機が備えられています。

 そして最も重要なのが、ここにある“あるスイッチ”です。それは、船のエンジンや舵を強制的に止めるスイッチです。

 たとえ海賊が操縦室(ブリッジ)を占拠しても、シタデルに逃げ込んだ乗組員がこのスイッチを使って船の動力を切ってしまえば、船はただの鉄の塊となり、動かすことができません。海賊が船ごと持ち去ることを物理的に不可能にする、最後の切り札と言えるでしょう。

 また、危険な海域では“民間武装警備員”が乗船することもあります。

 彼らは元軍人などのプロですが、いきなり撃ち合うことはありません。まずは武器を持って甲板に立ち、「この船は武装しているぞ」と姿を見せつけます。それでも近づくボートには、水しぶきが上がるように威嚇射撃を行い、警告します。

 彼らの仕事は「戦うこと」ではなく、あくまで「船に近づけさせないこと」です。海賊も命は惜しいため、防備が固い船だと判断すればターゲットを変えることが多いのです。

 巨大な船を守るための工夫は、カミソリワイヤーから開かずの部屋まで、徹底した“守りの技術”で固められています。

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