日本生まれの次世代戦闘艦「新型FFM」をオーストラリアが選んだワケ “高性能”以外の決め手ありました
2025年8月、オーストラリア海軍が次期主力艦として、日本が提案する「新型FFM」を選定しました。なぜ日本の戦闘艦が選ばれたのでしょうか。その秘密は、優れた省力性と、現場の悩みを解決するハイテク化にありました。
なんでもこなすマルチタスクの裏側
艦の頭脳であるCIC(戦闘指揮所)に入ると、そこはまるでゲームセンターのようです。指揮官を取り囲むように、部屋一周ぐるりと360度の大型円形モニターが並び、従来は別室だった「航行管制」「機関監視」「武器管制」の機能をCICに集約しました。
外観も特徴的です。敵レーダーに映りにくい「高度なステルス性」を追求し、突起物を極力なくし、平面構成のデザインで統一しています。
塔の代わりに立つ「ユニコーンアンテナ」には、通信アンテナや戦術データリンクなどを1本に集約しています。なお、レーダーについては、コストや納期の観点から現地、オーストラリア製ではなく、実績のある日本製が搭載される公算が高いとみられています。
もっとも、ハイテク化で便利になったからといって、乗員の仕事が軽くなったわけではありません。少人数化により、一人ひとりの役割はむしろ重くなっています。
人が減っても仕事は減りません。乗員は「戦闘」に加え、「掃海」と呼ばれる機雷の除去まで担います。
FFMの「M」はMine(機雷)の意味を含み、従来は専門の艦艇(掃海艦/掃海艇)が行ってきた危険な機雷処理を、無人ロボットで遠隔実施できる能力を備えています。
戦闘もでき、機雷の無力化までこなす。ひとりで多役を担う姿は、レジ対応から品出し、公共料金の支払いまで担う「コンビニ店員」のようなマルチタスクぶりといえるでしょう。
もちろん、最小限の人数で動かしているため、火災発生時に消火の手が足りなくなるのではないかといった課題も指摘されています。
人手不足が進む日本において、いかに少ない人数で高度に守るかという極限の挑戦から生まれた「新型FFM」のデータと技術。それは日本の海を守るだけでなく、海を越えたオーストラリアの安全にも貢献することになるでしょう。





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