6両から5両に“減車”が進行中、だけじゃなかった! 東武野田線の“主力車”がだいぶ変わっていた件

2025年11月、東武野田線(東武アーバンパークライン)で60000系電車の5両編成が営業運転を開始しました。野田線の新形車両である80000系電車に準じて、60000系は5両編成に短縮するリニューアルが進んでいます。

「たのしーと」が設置された車内

 車内に目を向けると、青系の色だった座席は80000系と同じ茶色系に、優先席は赤茶系から青系に交換されています。これにより車内の雰囲気は80000系に近付きましたが、袖仕切と呼ばれる座席端部の仕切りは交換されていません。ちなみに80000系は、ガラス製の袖仕切が使用されています。

 先の通り、4号車にはベビーカーを置けるスペースに黄色い1人掛けの座席を備えた「たのしーと」が設置されています。60000系の5両編成と80000系では、「たのしーと」や車いすスペース、優先席の位置が逆になり、連結面から鏡で写したような関係になっています。

 ちなみに、60000系と80000系では、車いすスペースの位置が進行方向に対して左右逆になっていますが、60000系の5両編成でも6両編成時代の位置が継承されています。また、80000系は全車両に車いすスペースを備えていますが、60000系は5両編成も含めて先頭車には車いすスペースがありません。

 60000系は、各扉の上に液晶式の車内表示器を1画面ずつ備えています。5両編成に短縮された編成では2画面タイプに交換された一方、千鳥に配置される形として80000系に合わせています。表示方式も80000系に合わせて車両間用無線通信装置・車内間用無線通信装置が設けられたため、60000系の5両編成では荷棚を短縮した箇所があります。

 さらに、ドアを開閉するための電気式戸閉装置も交換され、80000系と同じくラックアンドピニオン式が採用されています。また、車内の照明器具が交換され、蛍光灯タイプのLED照明に改められています。

 80000系は先頭部の前面ガラスが大きくなり、子供の身長でも乗務員室越しに前面展望ができるようになっています。一方、60000系の5両編成は前面ガラスが拡大されていませんが、乗務員室の扉が変わり、扉のガラス面積が大きくなっています。

 運転台は80000系に合わせて一新され、60000系の5両編成はT形のワンハンドルマスコンをやめて左手操作タイプに変わっています。運転台のパネルも変わり、ワンマン運転で使用するためのマイクや扉の開閉ボタンも設置されました。さらに、駅停車中にホームの映像を表示するための液晶画面も追加されています。

 60000系の5両編成は、2025年度に5本が登場し、最終的には全編成が5両編成に統一される予定です。このときに編成から外れた中間車は、80000系の中間車として活用されます。

【いろいろ違う!】5両編成化した60000系の車内・運転台を見る(写真)

Writer:

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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