世界初になる「自動運航の“フェリー”」に乗った! 車の自動運転と全然違う! 「海の銀座」瀬戸内海でレベル4相当
国際両備フェリーの「おりんぴあどりーむせと」に自動運航機能が搭載され、デモが公開されました。2025年度中には世界初となる、一般客を乗せた状態での自動運航を目指します。
「世界初」の自動運航フェリーに!
両備ホールディングス傘下の国際両備フェリーが運航するフェリー「おりんぴあどりーむせと」(942総トン)を使用した自動運航のデモンストレーションが2025年12月10日、瀬戸内海を舞台に行われました。日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環で、2025年度中に世界初となる一般の旅客が乗船した状態での自動運航を目指します。
両備ホールディングスの小嶋光信CEO(最高経営責任者)は「海運業界にとっては一つの革命になる」と強調しました。
自動運航機能が搭載された「おりんぴあどりーむせと」は藤原造船所で建造され、2019年5月に竣工しました。同船が主に就航しているのは新岡山(岡山市)と小豆島の土庄(香川県土庄町)を結ぶ所要時間70分ほどの航路で、観光客も多く利用しています。工業デザイナーとして知られる水戸岡鋭治氏がデザインを手掛けており、「海を走る遊園地」をコンセプトに、デッキ上には滑り台やミニトレインなどのさまざまな遊具が設けられています。
日本財団の海野光行常務理事は「『おりんぴあどりーむせと』は今月5日に自動運航を前提とした船舶検査に合格し、営業運航でも自動運航船としての機能を使用できるようになった。これにより世界で初めて自動運転レベル4相当の技術を活用する商用運航の船が誕生した」と説明します。
日本全体で人口減少による人手不足が深刻化し、内航船員の減少が危惧される中、日本各地にある離島航路の維持が厳しくなっているのが現状です。特に瀬戸内海の航路は日常生活の足としてだけでなく、国内外からの観光客がアクセスする重要な手段であることから、自動化を進めることで船員の負担軽減と便数確保の両立が見込まれます。
その一方で、航行する船舶が多い瀬戸内海を通り、旅客と車両の両方の輸送を担うため定時運航が求められているフェリーの自動化を図るには、衝突する可能性がある船や障害物を避ける確実な避航やスムーズな離着桟といった機能が必須です。
「船舶の海難事故はヒューマンエラーが8割を超えている。これを機械に任せることで少なくしていく」
海野常務理事はこう話したうえで、「瀬戸内海は海流の流れもたくさんあり、漁船やプレジャーボートもたくさんある。ここをクリアできれば、モデルとして他の地域でも使えるのではないか。離島の住民の足を確保・維持を進める上で重要な意義がある」と強調しました。





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