なぜ軽自動車は3気筒エンジンばかり? 昔は4気筒もあったのに… 各社「3」ばかりな理由「コーヒーで例えてみました」
最近の軽自動車のカタログを見ると、エンジンの項目に必ずある「直列3気筒」の文字。昔は4気筒もあったのに、なぜ各社そろって3気筒ばかりになったのでしょうか。
比べたら一目瞭然! な熱効率の秘密
軽自動車のエンジン排気量は、法律で660ccまでと決められています。この限られた660ccを、いくつの部屋(気筒)に分けるかというのがポイントです。
ここで、熱々のコーヒーをイメージしてみてください。
4気筒の場合、660ccを4つに分けるので、1部屋あたりだと165cc。これはコーヒーカップぐらいの容量です。いっぽう、3気筒なら1部屋あたり220ccとなり、少し大きめのマグカップくらいのサイズになります。
コーヒーカップに入れたコーヒーと、マグカップに入れたコーヒー、どちらが早く冷めるでしょうか。当然、量が少なくて空気に触れる面積の割合が大きい前者の方が、すぐに冷めてしまいます。
エンジンもこれと同じです。部屋が小さすぎると、せっかくガソリンを燃やして作った熱エネルギーが、エンジンの壁からどんどん逃げて(冷めて)しまうのです。これを専門用語で“冷却損失”と呼びます。
つまり、660ccという制限の中で効率よくパワーを取り出すには、細かく4つに分けるよりも、3つくらいに留めておいた方が、熱を無駄にせず燃費もパワーも稼げるのです。
もちろん、3気筒には振動が出やすいという弱点もありました。独特のプルプルとした揺れです。
しかし、今の技術はそれを克服しています。逆回転する重りで揺れを打ち消す「バランサーシャフト」や、振動を吸収する高性能なゴム部品の進化により、今の3気筒エンジンは驚くほど静かになっています。
かつての4気筒エンジン積みの軽自動車には、確かに贅沢で、かつロマンがあったでしょう。しかし、限られた排気量の中で極限まで効率を追求した結果、たどり着いた「3気筒」という答え。今の軽自動車が元気に走るのは、そんな技術者たちの“割り算の戦い”の成果なのです。





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