「えっ、“運転士”の年収スゴすぎ…」 人手不足で高待遇化、その結果…!「弁護士になるより鉄道会社」な英国
英国では列車の運転士が足りず、運休が頻発するなど社会問題化しています。そこで高待遇の求人が増加。「弁護士になるより、鉄道の運転士になる方が良いと考える若者が増えている」状況です。
「多い」のは給料だけじゃない
エリザベス線で運転士を育成する研修責任者、フォルショ・オルショラ氏は筆者(赤川薫:英国在住アーティスト・鉄道ジャーナリスト)の取材に対して、「英国では弁護士になるより、鉄道の運転士になる方が良いと考える若者が増えている」と明かしました。
確かに、契約書の作成などを扱う「事務弁護士(Solicitor)」の場合、ロンドンでの平均年収は8万8000ポンド(約1800万円)で、ユーロスターの鉄道運転士と同水準です。同氏が研修に携わるようになったこの11年間に運転士の高学歴化も進み、「当初は高卒が中心だったのが、今では大半が大卒以上で、大学院を卒業した運転士も珍しくなくなった」と回顧しました。
ちなみにロンドンでも路線バスの運転手の年収は、ベテランのドライバーでも3万7440ポンド(約760万円)と、エリザベス線の運転士には遠く及びません(イヴニング・スタンダードによる)。
また、2万1000人以上の組合員が加盟する英国の鉄道運転士労働組合(ASLEF)が2024年、賃上げに加えて「1週間で計34時間の勤務」を交渉条件に加えたため、運転士は週休3日制の鉄道会社が増えました。ワークライフバランスを重視する人には魅力的かもしれません。
給料は高水準で、勤務体系はワークライフバランスを重視でき、なおかつ、運転は一人で行うため職場の人間関係で悩むことも少なさそうですから、英国の大学で法律を学んだとしても、法曹家になるよりも鉄道の運転士を選ぶ若者が増えても不思議ではありません。
さて、イギリス運輸担当大臣が鉄道各社に運転士の育成を急ぐようにと通達したことから、今後、どこの路線でも運転士の採用数を大幅に増やしそうです。エリザベス線の研修責任者のオルショラ氏に募集要項などを尋ねてみました。
条件としては、運転士としての試験に合格するまでに21歳になっていること、英国で働けるビザなどを保持していること、英語で筆記と口頭の試験が受けられること、論理思考力を見る筆記試験に心理テスト、身体検査と面接に合格すること、だそうです。
合格率が2%程度になることもあるほど狭き門だといいますが、国籍も不問ですから、諸条件に合うという方はぜひ挑戦してみるのも悪くないかもしれません。筆者もなんだか、応募してみたい衝動に駆られます。
Writer: 赤川薫(アーティスト・鉄道ジャーナリスト)
アーティストとして米CNN、英The Guardian、独Deutsche Welle、英BBC Radioなどで紹介・掲載される一方、鉄道ジャーナリストとして日本のみならず英国の鉄道雑誌にも執筆。欧州各国、特に英国の鉄道界に広い人脈を持つ。慶応義塾大学文学部卒業後、ロンドン大学SOAS修士号。





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