埼玉県内だけで7時間! 日本唯一のテンダーSL「夜行列車」に乗った 「こんな夜中にまさか…」の連続!?

「夜汽車」の雰囲気が最も似合うのは、蒸気機関車(SL)が牽引する客車列車ではないでしょうか。日本唯一のテンダー式SL列車の終夜運転に乗り込むと、旅情を演出する数々の仕掛けが待ち受けていました。

「絶対起きててやる!」→わたしは違う楽しみ方で

 扉が開閉して下車することができる最初の停車駅、寄居(埼玉県寄居町)に着く前に車掌の「まもなく寄居に到着いたします。3番線到着、お出口は右側です」という車内放送が流れました。続いて「東武東上線はお乗り換えです。今度の発車は普通森林公園行き、0時8分です」と案内しましたが、もしも下車してそのまま乗り換えたらどうなるのでしょうか。

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C58の機関室(大塚圭一郎撮影)

 日本旅行は「途中駅で離団すると前途放棄になり、乗車票は無効となります」とし、「旅行代金の返金はなく、再度合流はできません」と説明しました。よって、乗り換え案内はあくまでも旅情を高めるための演出です。

 約12分間停車した寄居を23時50分に出発後、日をまたごうとしているタイミングで天井のスピーカーから「夜も更けて参りました。これより間もなく、車内の照明を暗くさせていただきます」との声が流れました。天井の照明がやや暗くなった車内は、夜汽車らしい風情を醸し出しました。

 ツアー中に徹夜することを決め込んで目をしっかりと見開き、列車内を歩き回って一部始終を観察しようとする参加者もいます。もちろん、SL夜行の貴重な機会を貪欲に楽しもうとする姿勢はよく理解できます。

 一方で、C58が発する汽笛やブラスト音が聞こえる中で、決して寝心地が良いとは言えないボックス席の背もたれにもたれかかるのも大きな醍醐味ではないでしょうか。「徹夜するのか、それとも直立した背もたれに身をゆだねて眠るのか、それが問題だ」と言えるでしょう。

 筆者は後者で、照明がやや暗くなったのを良いことに目を閉じているとうたた寝をしていました。起床したのは長瀞(埼玉県長瀞町)を通り過ぎ、12月14日1時5分に秩父(埼玉県秩父市)へ滑り込む前でした。

【え…!】これが「夜中の3時」に駅で営業していた“幻の店”です(写真)

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