埼玉県内だけで7時間! 日本唯一のテンダーSL「夜行列車」に乗った 「こんな夜中にまさか…」の連続!?

「夜汽車」の雰囲気が最も似合うのは、蒸気機関車(SL)が牽引する客車列車ではないでしょうか。日本唯一のテンダー式SL列車の終夜運転に乗り込むと、旅情を演出する数々の仕掛けが待ち受けていました。

夜中の3時に食えるとは…!

 島式プラットホームの秩父駅1番線に到着し、2番線には1968年に登場した元都営地下鉄三田線のステンレス製電車6000形(現・5000系)が陣取っていました。昭和時代に登場した役者がそろい、10分間の停車時間中にホームでは参加者たちがさまざまなアングルから撮影していました。

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深夜の秩父駅で5000系(もと都営三田線6000形)と対面(大塚圭一郎撮影)

 秩父を出て40分後、闇夜を切り裂くように上り勾配を駆けてきた「第51三峰号」は三峰口の駅舎に隣接した1番線に入線しました。通常ならば終点ですが、この列車は「三峰口経由熊谷行き」のためあくまでも途中停車駅の扱いです。C58の炭水車に水を補給し、折り返し運転のために転車台で方向転換するなどの作業に加え、駅構内での撮影会も用意されているため停車時間は1時間40分とたっぷりあります。

 撮影会ではホームの先にある構内踏切を締め切り、煙を立ち上らせるC58の勇姿をしっかりと撮影できるように配慮されていました。

 構内踏切を渡った3番線には、1973年の登場から半世紀余りがたつ電気機関車(EL)のデキ500形2両がつながれて停車していました。これらELの普段の任務は、沿線の武甲山などで採掘されるセメント原料の石灰石を太平洋セメント熊谷工場(熊谷市)へ運ぶことなどです。

 ただ、この日は「C58の調子が良くない緊急時に、補機として連結できるように待機している」(山中さん)そうで、野球の試合ならば控え投手のような役割でした。とはいえ、秩父鉄道のいぶし銀の魅力を持つELは鉄道愛好家の人気があるだけに「もう一つの任務」も担っていました。

 それは撮影会への登板です。C58の撮影が一服した後、いったん構内踏切が締め切られてデキ500形2両が2番線へ移動。C58とデキ500形の横並びの構図が用意されました。

この日のC58は調子が良かったため、デキ500形2両は撮影会終了後に一足早く熊谷方面へ引き上げていきました。

 さて、「関東の駅百選」に選ばれた木造平屋の三峰口駅舎の外では“粋なサービス”も。SLの運行日だけシャッターが開くことから“幻の駅そば”とも呼ばれる駅そば店「三峰口駅そば店」が営業しており、昭和時代の夜汽車の旅につきものだった「夜鳴きそば」をすすれるのです。深夜営業のため、価格は通常より50円高い600円でした。

 筆者は駅構内にある転車台でC58が方向転換する様子を眺めた後、そばを注文する算段でした。しかし、駅から徒歩約5分の場所にある転車台を去るときには、発車時刻20分前の3時15分になっていました。そば店の営業時間は3時20分までなので、時すでに遅しでした。

【え…!】これが「夜中の3時」に駅で営業していた“幻の店”です(写真)

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