「日本一の秘境駅」を「ふるさと納税」で維持 裏にある豊浦町の「ねらい」と「悩み」
勘違いも多い? 乗降客ほぼゼロ、廃止寸前の小幌駅を自腹で存続させた豊浦町の意図
小幌駅は室蘭本線にあり、トンネルに挟まれた駅です。周囲に道路も民家もなく、南側に海岸と洞窟があるだけです。乗降客数はほぼゼロで、「日本一の秘境駅」と呼ばれています。採算が合わないためJR北海道はこの駅を廃止する方針でしたが、2016年4月から、豊浦町が年間の維持費と老朽化したホームの改修費を負担することで存続が決まりました。
豊浦町は小幌駅を観光資源として活用したい考えです。しかしそれは、単に「日本一の秘境駅」を存続させてそこに観光客を呼ぼう、というのが目的ではありませんでした。豊浦町商工観光係に聞きました。
「廃止になりそうな秘境駅を救ったとして話題になりました。まずは小幌駅を残し、それから観光を考えていくつもりだと思われてしまいがちです。しかし実際は違います。先に、豊浦町として、地方創生による観光振興対策に取り組もうという動きがありました」(豊浦町商工観光係)
豊浦町は洞爺湖の西側にあります。そして洞爺湖周辺の市町村は2000(平成12)年の有珠山噴火災害の復興を目的とした地域振興策として「エコミュージアム」を宣言し、2009(平成21)年に「世界ジオパーク」に認定されました。そこで、豊浦町は内浦湾の小幌海岸、岩屋洞窟に注目していたそうです。そこに行く交通手段は小幌駅からの徒歩のみ。また、小幌駅が「日本一の秘境駅」として鉄道ファンに知られているため、観光スポットとして重要と考えていました。
「そんなときにJR北海道から小幌駅を廃止したいという話がありました。このエリアを観光に活かすためにも駅は必要です。町長をはじめ町議員も駅と駅周辺を視察し、町議会の全員一致で存続を決めた、という経緯です」(豊浦町商工観光係)
秘境駅を残して観光客を呼ぼう、ではなく、観光に力を入れるために駅が必要だったというわけです。
コメント