「戦車は時代遅れ」の声を覆すかも!? 米陸軍が新型を公開 異例だらけの開発手法とは
アメリカ陸軍が、新型戦車「M1E3」の初期試作車を完成させ、デトロイト自動車ショーで初期試作車を公開しました。アメリカ陸軍が戦車を今後どう開発・運用していくのか注目を集めています。
「完成形」の登場はないかも…?
M1E3には主な開発コンセプトがいくつかありますが、その一つが軽量化です。現行のM1A2の重量が約78トンに達するのに対し、M1E3は約60トン級を目指すとされています。
また、電気化も重要な開発要件です。機関系はディーゼルエンジンで発電し、電動で駆動するハイブリッド方式が検討されています。燃費はM1A2より約40%改善すると試算されていますが、これは環境対策ではなく、前線での行動持続力を高めることが狙いです。ドローンや対戦車弾を迎撃できる統合型アクティブ防護システム(APS)や各種センサー、対ドローン装備など、電力を大量に消費する装備が増えており、余裕のある電力容量確保の必要性が増していることも、電気化を推し進める理由になっています。
あわせて、ハード的な対ドローン・対戦車火器対策も充実化が図られます。ウクライナ戦線でお馴染になった、かご状のコープゲージをはじめ、追加装甲の装備が検討されています。
加えて攻撃力の充実も焦点となっていますが、主砲は自動装填装置付き口径120mm、またはそれ以上としか表現されておらず、大口径砲は軽量化の観点から、必ずしも重視されてはいません。スイッチブレード300および600など、徘徊弾薬の搭載が検討されています。
そして、ネットワーク対応の将来的な発展性も考慮されます。ネットワーク機能の充実と、将来を見越した拡張性やモジュール性、オープンアーキテクチャが重視されています。戦車は単独で戦う兵器ではありません。ドローン、徘徊弾薬、宇宙領域まで含めたセンサー群、砲兵や歩兵など各種兵科とともに、戦場ネットワークで一体化して運用される“端末”の一つに過ぎないのです。
M1E3は将来型戦車の完成形ではありません。従来の戦車開発には長期間を要し、その設計コンセプトは10年先の戦場を占うようなものでした。一方、軽量化や電動化、ネットワーク対応、無人化への備えを車両の設計に取り込むという、現在の開発トレンドの流れは不可逆で、しかも加速しています。占いなどをしている暇はありません。とにかく早く作って、試し、アップデートを繰り返すことが求められます。M1E3が「これで完成」という形になることは、将来ないのかもしれません。
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。





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