「夜行列車はオワコン、全廃だ」→「わが国が引き継ぐ!」 10年で見事“復権”させた立役者に聞く“イマっぽい”成功の秘訣
ヨーロッパの「小国」オーストリアで、国際夜行列車が育っています。一時は終焉(しゅうえん)がささやかれていた夜行列車を、オーストリア国鉄が新ブランド「Nightjet(ナイトジェット)」として再構築。その挑戦と戦略をインタビューしました。
成功のカギは環境意識とブランド戦略
無謀とも思えた挑戦を後押ししてくれたのが、環境意識の高まりです。2017年頃からスウェーデンで使われ始めた、飛行機利用者を非難する「飛び恥(Flight Shame)」という言葉が、環境活動家、グレタ・トゥーンベリ氏の活動とともに世界へと普及しました。これにより、飛行機で飛び回る人への風当たりが強くなったのです。
特に、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた「Z世代」の社会人の間では60%が飛行機よりも鉄路などの環境に優しい移動手段での出張を望むという統計もあり(Trainline Partner Solutions 2025年3月発表)、欧州の若者の間では一過性の流行ではなく定着したライフスタイルとなったようです。
清水の舞台から飛び降りる気持ちで夜行列車を買い取ったと思われるオーストリア国鉄ですが、こうした傾向を反映して、早くも2017年にNightjetの利用者増を報告しています。実際、「条件によっては、鉄道による移動は航空機に比べて最大20倍も環境負荷が低い」と、リーダー氏は指摘します。
夜行列車から完全撤退したドイツ鉄道は、代わりに高速鉄道ICEの増便・延伸を行いました。そうした高速鉄道と夜行列車の関係についても、同氏は「競合ではなく補完的な存在」と捉えています。「高速鉄道は確かに長距離移動に有効ですが、高速路線が未整備の区間はまだ多く、そうした区間では夜行列車が大きな役割を果たす」とのことです。
ブランド戦略に長けていたことも見逃せません。2008年から運行が開始し、人気を得ていたオーストリア国鉄の高速列車「Railjet(レイルジェット)」のイメージを踏襲し、ブランド名の末尾に鉄道のライバルであるジェット機を連想させる「jet」を付けたのです。RailjetにもNightjetにも共通で使われている特徴的な白抜きの書体で、車体の側面に大きく書かれた「○○jet」の文字を見れば、「オーストリア国鉄の列車だ」と一目瞭然です。
分かりやすいブランド認識を利用者に持ってもらう大切さを同氏は語ります。これにより、Railjetにすでに親しんでいる顧客に、「Nightjetを予約すれば、どの路線でも(Railjetに通じる)一定水準のサービスが保証されている」という、明確で統一されたプロダクトコンセプトが打ち出せたそうです。
共通のロゴをまといながら、高級感がある艶やかな赤い車体のRailjetに対して、Nightjetは控えめな紺の車体にしたのも戦略勝ちではないかと個人的に感じます。





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