電気機関車「金太郎」約30年越し“大改造”のワケ 「日本海に迂回して貨物を止めるな」だけじゃない狙い JR貨物に聞いた

JR貨物は2026年3月のダイヤ改正で、改造した電気機関車EH500形「金太郎」の運用を上越線へ拡大します。発表されている目的に加え、担当者への取材から「一石二鳥」の狙いが見えてきました。

震災後には石油列車が迂回運転

 JR貨物は2026年3月14日のダイヤ改正で、「ECO-POWER 金太郎」の愛称を持つ交直流電気機関車EH500形のうち、改造を施した機関車を使って運用を上越線へ拡大します。その目的についてJR貨物の担当者に直撃すると、発表された以外の理由も見えてきました。

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JR貨物の「金太郎」ことEH500形(大塚圭一郎撮影)

 同社はダイヤ改正に関する2025年12月12日の発表資料で、事業継続計画(BCP)対策として「主に東北線を中心に運用しているEH500形式交直流電気機関車の運用区間を上越線へ拡大します。これにより輸送障害時の迂回輸送対応力を強化し、関東⇔東北間におけるリダンダンシーを向上します」と強調しました。

 2011年3月の東日本大震災後に東北地方の石油不足が深刻化した際には、鉄道貨物輸送の屋台骨を支えている東北本線に加え、常磐線も通れなくなりました。そこでJR貨物は、石油を運ぶ貨物列車が普段は運行しない羽越本線などの日本海縦貫線や、2007年度以降に貨物列車が走っていなかった磐越西線などを使って根岸駅(横浜市)から被災地の盛岡貨物ターミナル、郡山貨物ターミナル(福島県郡山市)まで石油列車を運行して復旧に貢献しました。

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)が取材したJR貨物運輸部運用グループの皆川 実グループリーダーと、木村孝太サブリーダーは、EH500形の上越線乗り入れは同じような事態が発生した場合に羽越本線などの日本海縦貫線を経由した迂回輸送に活用できると教えてくれました。

 ただ、もう一つの思惑もあり、「一石二鳥」の狙いがあると明らかにしました。

BCP対応のために「2つの改造」

 1998年に製造が始まったEH500形は最高速度110km/hで、交流20000V、直流1500Vに対応した電気機関車です。重さは134.4tで、出力は4000kW(1時間定格)あります。

 上越線に乗り入れるのは仙台総合鉄道部に所属するEH500形で、2025年末時点で41両の機関車に、JR貨物は2つの“大きな改造”を施しました。

 群馬と新潟の県境付近に急勾配がある直流の上越線は、東北本線より大きな出力が必要となります。このため、EH500形が架線から取り込む電気の入力電流を引き上げることを可能にしました。

 一方、日本海縦貫線を通って迂回輸送するために出力を下げられる改造も施し、皆川さんは「新潟県の交流区間の一部は変電所の容量が小さく、(交直流電気機関車)EF510形と同じ出力まで下げて走れるようにした」と説明します。

【“玉突き転属”発生!?】これが「金太郎」導入から置き換えられる「老機関車」です!(写真12枚)

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