ロシアじゃ飛行機が「軽トラ」代わり!? なかなか更新できず“約80年間現役”の傑作機 「他人事とは思えない」事情とは
旧ソ連で生まれた小型多用途機An-2は、まるで「軽トラック」のようにロシア地域の日常生活に溶け込んでしまった航空機です。設計から80年近く経つ一方、後継機の開発は難航していますが、背景には地方のインフラに特有の問題があります。
必要だけど儲からない「地域航空」
An-2が長く使われ続けた最大の理由は、同機が完成されすぎた傑作機だったことにあります。もちろん現代の視点で見れば、燃費や騒音、快適性、そして安全性は決して優れていません。しかし、地域航空に求められる「確実に飛び、確実に運べる」という一点において、これ以上ない性能を備えていました。
また、社会主義経済下の旧ソ連では、航空機は多少古くても使えれば問題になりませんでした。採算性や環境性能など二の次で、“使えること”が最優先だったため、An-2を急いで置き換える理由もなかったのです。
さらに、ちょうど後継機の必要性が認識され始めていた1991年にソ連が崩壊。経済は混乱し、航空機産業は急激に縮小しました。加えて、An-2の設計元であるアントノフ設計局はウクライナに残ったため、ロシアは設計権や生産権が不明確なまま、An-2の運用を続けることになります。
そしてソ連崩壊直後の混乱が一段落した後も、地域航空は採算性が極めて低く、市場経済に移行したロシアでは、ビジネスとして成立しませんでした。「必要だが儲からない」という社会インフラの分野に、誰も本腰を入れられなかったのです。





コメント