アメリカ戦闘機の最新型「導入やめた」 インドネシアが破格の条件でも“ドタキャン”した2つの理由 「日本案」不採用にもつながる背景

インドネシアが計画していたボーイング製戦闘機の導入を中止しました。“ドタキャン”の背景には何があるのでしょうか。

F-15EXまで手が回らない? 背後に中国の影

 インドネシアの2025年の経済成長率は前年比5.11%に達しており、5年連続で5%台の大台を達成していますが、もともとの経済規模が大きくはなかったため、戦闘機を含めた急激な軍備の拡張は財政への大きな負担となっています。前に述べたKF-21への出資金の払い込みも何度か遅延し、2025年11月に技術移転の縮小と引き換えに出資金の減額を韓国に了承してもらっています。

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インドネシアが韓国からの技術移転を得て生産を計画している「IF-X」の模型(竹内 修撮影)

 KF-21への出資に加えて、インドネシアにはラファール39機の代金と、M-346Fの代金の支払いがのしかかってきますので、いかにインドネシア経済が好調でも、F-15EXの購入資金までは手が回らなかったのではないかと考えられます。

 もう一つの理由は、対中関係を含めたインドネシアの外交方針の変化にあるのではないかと思います。

 インドネシアは2010年代中期まで、拿捕した漁船を爆破するなど、中国に対して強硬な姿勢を示してきましたが、2010年代後期から急速に関係を改善させています。

 真偽のほどは定かではありませんが、中国はインドネシアに対して、人民解放軍空軍が使用していたJ-10戦闘機の中古機を格安な価格で譲渡すると持ちかけており、これがインドネシアにF-15EXの導入を断念させた理由の一つだとも言われています。

 こうしたインドネシアの外交方針の転換の影響は、戦闘機以外の軍備の整備にも現れています。

 インドネシアは2026年1月に、イギリスのバブコックとの間で、同社のフリゲート「アローヘッド140」2隻のライセンス生産契約を締結しています。インドネシアの水上艦艇戦力の整備は以前から計画されていたものですが、この計画に対しては日本からも、もがみ型護衛艦をベースとする水上戦闘艦が提案されていました。

 F-15EXの導入計画中止や、アローヘッド140のライセンス生産契約の締結は、必ずしもインドネシアがアメリカや同国と協同歩調を取る日本と距離を置こうという姿勢を示すものだと筆者は考えませんが、こうした防衛装備品の調達先の多角化は、インドネシアの外交方針の変化を示すシグナルだと思えてなりません。

【似てる…?】これが「もがみ型」を破ってインドネシアが契約したフリゲートです(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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