電気機関車「金太郎」約30年越し“大改造”のワケ 「日本海に迂回して貨物を止めるな」だけじゃない狙い JR貨物に聞いた

JR貨物は2026年3月のダイヤ改正で、改造した電気機関車EH500形「金太郎」の運用を上越線へ拡大します。発表されている目的に加え、担当者への取材から「一石二鳥」の狙いが見えてきました。

「日本海迂回」準備万端? 「桃太郎」とも連携

 EH500形の改造では運転台に入力電流の切換スイッチを取り付けるとともに、制御装置の設定をスイッチで切り換えられるようにするソフトウエアの変更などを実施。外観は改造車と未改造車の違いはないそうです。

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JR貨物の「桃太郎」ことEF210形がコンテナ車をひいた列車(大塚圭一郎撮影)

 皆川さんは「2025年度末(26年3月末)までに計43両を改造します。29年度末までには仙台総合鉄道部のEH500形の全てとなる計66両の改造を完了させます」と明らかにしました。

 2026年3月14日のダイヤ改正後にEH500形は、隅田川駅(東京都)と新潟貨物ターミナルを結ぶ定期列車の高崎操車場(群馬県高崎市)―新潟貨物間で運用し、コンテナ車20両を牽引します。皆川さんは新潟貨物発の列車で運ぶのは「具体的な顧客名は言えないが、紙製品や菓子などを運んでいる」と説明しました。

 筆者の取材では、製紙大手の北越コーポレーションが新潟工場(新潟市)で製造した印刷用紙や新聞用紙などの紙製品の一部をJR貨物のコンテナ車で運んでいます。また、JR貨物が短文投稿サイト「X」にて、新潟県内に工場を抱える亀田製菓、ブルボン、岩塚製菓、越後製菓が「普段から貨物鉄道を利用いただいている」と投稿していることを踏まえると、運搬する菓子にはこうしたメーカーの製品が含まれているようです。

 所要時間は通常ならば7時間弱となり、隅田川―新潟貨物間は高崎操車場、南長岡駅(新潟県長岡市)で運転士が交代するため計3人が乗務します。うち隅田川―高崎操車場間では、直流電気機関車で「ECO-POWER 桃太郎」の愛称を持つ「EF210形などがけん引することになる」(木村さん)といいます。

 JR貨物はEH500形を上越線へ入れるのに先駆けて、車種教育を2025年10―11月に実施。東新潟機関区および同区南長岡派出所属の運転士計69名が参加し、EH500-8を高崎操車場から南長岡駅および新潟貨物ターミナル駅まで単機で回送しました。

 教育を受けた運転士はEH500形を日本海縦貫線経由で迂回輸送する場合に対応できるようになり、準備が完了しました。北東北の日本海縦貫線などを担う秋田総合鉄道部は、EH500形が牽引する定期列車を既に受け持っています。

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