命令は「大統領を拉致せよ!」米軍が見せた驚愕の特殊作戦その全貌 あらゆる航空機を駆使して1日で3500kmを移送
電撃的に実行されたベネズエラ大統領マドゥロの拘束作戦。その裏で多数の航空機を緻密に組み合わせた移送作戦が展開されました。
司法当局への身柄引き渡しと本国移送
グアンタナモで待機していたのはボーイング757でした。しかし、それは民間航空会社の旅客機ではありません。機体外部に所属を示す標識をほとんど持たないこの航空機は、米司法省が運用する特別移送機だったのです。ここでマドゥロの身柄は軍の管理下から法執行機関の管理下へと引き渡されることになります。
757はその後、ニューヨーク近郊のスチュワート空軍州兵基地へ向けて飛行しました。アメリカ本土への到着後、最後の移送任務を担ったのは麻薬取締局が運用するベル412EPヘリコプターです。マドゥロは同機によってニューヨーク市内へ搬送され、最終的にブルックリンの拘置施設へ収容されました。
この一連の作戦において注目すべきは、MH-47G、MC-130J、ボーイング757、ベル412EPという4種類の航空機が、それぞれの特性を最大限に発揮しながら一つの目的のためにスムーズに連携した点です。特殊部隊による強襲、長距離秘密輸送、法執行機関への身柄移管、そして最終移送、それぞれの段階に最適化された航空戦力が継ぎ目なく接続されていました。
この作戦はアメリカが保有する航空戦力、情報収集能力、特殊作戦能力、そして世界規模の輸送ネットワークを統合運用した結果です。国際法上の評価や政治的正当性については議論の余地があるとしても、少なくとも軍事的観点から見れば、この作戦は現代的な航空ロジスティクスの実例を示したものとなるでしょう。アメリカは、自らが構築した全地球規模の軍事・司法インフラを駆使することで、主権国家という境界線すら越えて影響力を行使できることを、世界に対して改めて示したと言えます。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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