米海軍の軽空母、なにをもって「軽」なのか 新型導入検討もサイズは実にアメリカン!

アメリカ海軍に新型空母の導入が検討されることになりました。現行の空母よりひと回り小さな軽空母とのことですが、はたから見れば実にアメリカンサイズな「軽」空母になる見込みです。

米海軍、「軽空母」導入を検討へ

 アメリカ上院軍事委員会は2017年6月29日、緊急事態において迅速に航空戦力を投入することを目的に、アメリカ海軍へ新しい「軽空母」の導入を検討することを発表しました。

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奥から軽空母インヴィンシブル(英)、正規空母フォレスタル(米)、強襲揚陸艦ワスプ(米)、軽空母プリンシペ・デ・アストゥリアス(西)(画像:アメリカ海軍)。

 現在アメリカ海軍は、満載排水量約10万トンのニミッツ級空母が10隻、そして新しいジェラルド・R・フォード級空母が1隻と、合計11隻の空母を保有しており、またこれらの空母において運用されるF/A-18E/F「スーパーホーネット」など艦上戦闘機約50機を中心とした「空母航空団」を9個、編成しています。

 10万トン級の空母11隻に航空自衛隊の倍近い約500機の戦闘機を保有と聞けば、さぞ大兵力に感じられるかもしれませんが、空母は休息や整備期間、訓練航海期間、実戦投入期間をそれぞれ1/3ずつ充ててローテーションしているため、実質3隻から4隻程度で全地球をカバーしなくてはならず、かなり厳しい運用を強いられているのが実情です。

 冒頭の、小さく安価な新型軽空母を導入するという計画は、ある程度の能力は犠牲としながらも実働可能な空母を増やし、即応力を高めるのが狙いであると見られます。

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コメント

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9件のコメント

  1. なお、この記事に関していくつかの疑問点があります。
    この記事で紹介されているカサブランカ級はあくまで商船の船体の設計を流用した護衛空母(速度も18ノット前後)であり、最初は軍艦扱いさえされてませんでした(当初類別記号AVG、汎用航空特務艦、後にACV特務空母、最後にCVE護衛空母)。
    ただし、これとは別に巡洋艦を改造、もしくは巡洋艦の船体の設計を流用した軽空母(CVL)2級11隻は実在していました(戦時1級9隻竣工1隻戦没1級2隻戦後竣工)。
    速度も正規空母並み、防御力や搭載数の不足はあったにしても、正規空母の不足を補う活躍をしていました。
    紹介するならそちらの軽空母とすべきです。
    また、ミッドウェー級に関してですが、就役末期は改装に次ぐ改装で相当無理があった点を考慮に入れるべきでしょう。
    ついでに、将来は無人機の導入で逆に通信、統制、空域管制に余計な手間暇かかりますし、甲板上の搭載機の動きも余計面倒になる事も想定されます。
    また、人員に関しても小型化したわりには削減できませんし、なにより継戦能力が半端になります。
    その点の記述が甘すぎと思います。

    • 詳しいね、眠れぬ夜はまた拝読させてもらうよ、

  2. 最初は名実ともに軽だったものが、やがて名目だけの軽になるってのは日本の軽自動車も同じだね
    まあ色々と欲があるから、ちょっとずつタガが外れていくんだろうね

  3. これ、絶対に費用対効果がものすごく悪い戦艦になるよ。
    この前のイージス艦みたいにフィリピンのタンカーが来たら一瞬で大破するだろう。
    露軍から頑丈な軍艦を買った方が明らかに得策。

    • 戦艦と軍艦は違う。それに第一2万トンの重量のコンテナ船のバルバスバウの接触、いってみれば水面下からの衝角攻撃食らって無事で済む保証があるか。いくら頑丈とはいえ限度があるわ。第一ロシアの軍艦が頑丈だからってダメージコントロールきちんとしなければ結局は沈む。その所考えて。

  4. 80年代にニミッツ級の高価格に鑑みて、似たような提案があったが、費用対効果が悪いということで沙汰止みになった経緯がある。F35Bは正規空母でなくとも充分に運用可能なので、アメリカ級LHAに搭載ということで落ち着くのではないか。

    • となると、改アメリカ級2隻追加建造か。何にせよ空母として扱うなら航空燃料武器弾薬に加えてしっかりとした整備能力が必要ですからね。特にF-35の場合は手抜き整備即ステルスの化けの皮が剥がれるという事も考えられるし(特に実戦の損傷修理時は)

    • アメリカ級LHAの1,2番艦は航空機運用重視のあまりドックウエルを廃止し、海兵隊から苦情がでて3番艦以降従来通りドックウエルを復活させた経緯がある。軽空母としての運用はまずこの2隻で行われるのではないか。