米海軍の軽空母、なにをもって「軽」なのか 新型導入検討もサイズは実にアメリカン!

まったくもって「軽」じゃない軽空母?

 ミッドウェイ級の満載排水量は7万トン近く、現用のニミッツ級やジェラルド・R・フォード級といったスーパーキャリアーを基準とすれば相対的に軽空母といえなくもありませんが、それでも軽空母と称するにはあまりにも大きい艦です。これに匹敵する空母はアメリカ海軍のものをのぞくと、世界でもイギリス海軍の「クイーン・エリザベス」や中国海軍の「遼寧」など、わずかしかありません。

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「ミッドウェイ」は第二次世界大戦末期に進水、F4Uコルセア等戦闘機133機という破格の搭載数を誇った。1992年まで横須賀に配備され退役(関 賢太郎撮影)。

 ミッドウェイ級航空母艦のネームシップである「ミッドウェイ」に艦載された第5空母航空団は、1992年の時点において、F/A-18「ホーネット」36機、A-6「イントルーダー」攻撃機ならびにEA-6「プラウラー」電子戦機18機、S-3「バイキング」哨戒機/空中給油機4機、E-2「ホークアイ」早期警戒機4機、SH-60「シーホーク」対潜哨戒ヘリコプター6機で編成されていました。

 現在の第5空母航空団はニミッツ級「ロナルド・レーガン」に配備されており、母艦こそスーパーキャリアー化してはいますが、1個空母航空団あたりの定数が減少したこともあって、航空機の数はほとんど変わっていません。

 したがって新型軽空母は、「軽空母」とは名ばかりに、その気になれば1個空母航空団をまるごと艦載可能となる可能性もありますが、航空機を射出するカタパルトは半分の2本が推定されるため、1日あたりの出撃数は少なくなりますから、実数は半個空母航空団くらいとなるかもしれません。

 この新型軽空母が実現するかどうかは今のところ不明ですが、早ければ2030年代半ばには就役することを見込んでおり、AV-8B「ハリアーII」並びにF-35B「ライトニングII」などを艦載する「強襲揚陸艦」の後継になる可能性があります。

【了】

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コメント

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9件のコメント

  1. なお、この記事に関していくつかの疑問点があります。
    この記事で紹介されているカサブランカ級はあくまで商船の船体の設計を流用した護衛空母(速度も18ノット前後)であり、最初は軍艦扱いさえされてませんでした(当初類別記号AVG、汎用航空特務艦、後にACV特務空母、最後にCVE護衛空母)。
    ただし、これとは別に巡洋艦を改造、もしくは巡洋艦の船体の設計を流用した軽空母(CVL)2級11隻は実在していました(戦時1級9隻竣工1隻戦没1級2隻戦後竣工)。
    速度も正規空母並み、防御力や搭載数の不足はあったにしても、正規空母の不足を補う活躍をしていました。
    紹介するならそちらの軽空母とすべきです。
    また、ミッドウェー級に関してですが、就役末期は改装に次ぐ改装で相当無理があった点を考慮に入れるべきでしょう。
    ついでに、将来は無人機の導入で逆に通信、統制、空域管制に余計な手間暇かかりますし、甲板上の搭載機の動きも余計面倒になる事も想定されます。
    また、人員に関しても小型化したわりには削減できませんし、なにより継戦能力が半端になります。
    その点の記述が甘すぎと思います。

    • 詳しいね、眠れぬ夜はまた拝読させてもらうよ、

  2. 最初は名実ともに軽だったものが、やがて名目だけの軽になるってのは日本の軽自動車も同じだね
    まあ色々と欲があるから、ちょっとずつタガが外れていくんだろうね

  3. これ、絶対に費用対効果がものすごく悪い戦艦になるよ。
    この前のイージス艦みたいにフィリピンのタンカーが来たら一瞬で大破するだろう。
    露軍から頑丈な軍艦を買った方が明らかに得策。

    • 戦艦と軍艦は違う。それに第一2万トンの重量のコンテナ船のバルバスバウの接触、いってみれば水面下からの衝角攻撃食らって無事で済む保証があるか。いくら頑丈とはいえ限度があるわ。第一ロシアの軍艦が頑丈だからってダメージコントロールきちんとしなければ結局は沈む。その所考えて。

  4. 80年代にニミッツ級の高価格に鑑みて、似たような提案があったが、費用対効果が悪いということで沙汰止みになった経緯がある。F35Bは正規空母でなくとも充分に運用可能なので、アメリカ級LHAに搭載ということで落ち着くのではないか。

    • となると、改アメリカ級2隻追加建造か。何にせよ空母として扱うなら航空燃料武器弾薬に加えてしっかりとした整備能力が必要ですからね。特にF-35の場合は手抜き整備即ステルスの化けの皮が剥がれるという事も考えられるし(特に実戦の損傷修理時は)

    • アメリカ級LHAの1,2番艦は航空機運用重視のあまりドックウエルを廃止し、海兵隊から苦情がでて3番艦以降従来通りドックウエルを復活させた経緯がある。軽空母としての運用はまずこの2隻で行われるのではないか。