本州と沖縄を結ぶ旅客フェリー消滅へ LCC時代、長距離フェリーの現状とは

貨物は新たに志布志へ寄港 奄美の農産物を東京へ

――具体的にはどのような体制になるのでしょうか?

 阪神航路は貨物専用としたうえで、新たに志布志港(鹿児島県志布志市)を寄港地とします。志布志~沖縄間を東京航路、阪神航路の貨物2航路とすることで、たとえば阪神航路で運んだ奄美群島の農産物を志布志港で東京航路へ積み替え、首都圏に運ぶことが可能になります。

※ ※ ※

 マルエーフェリーによると、鹿児島航路は旅客も堅調で、利用者は年間15万人ほど。離島航路としての役割はこちらで代替できることからも、阪神航路の旅客営業休止を決めたそうです。

 なお、神戸・大阪~那覇間の旅客運賃は2等1万5120円から。かつては「阪神地域に多く住む奄美群島や沖縄の出身者にとって、安価で楽な帰省手段として利用されていた」(マルエーフェリー)そうですが、LCCの登場により「安さ」の面で優位に立てなくなったといいます。

 運航距離300kmを超える長距離フェリー事業者の団体である長距離フェリー協会(東京都千代田区)によると、「旅客においてはどの航路も同様にLCCと競合しており、大きくは伸びていない」そうですが、「貨物はむしろ増えている」といいます。

「長距離フェリーはそもそもトラックがメイン。各拠点間から目的地とする市場へ、必要な貨物を都合のよい時間に運べるようダイヤが組まれています。近年はトラックドライバー不足のため、船便の需要がさらに高まっているほか、船を新しく、より高効率なものに代替することも進んでいます」(長距離フェリー協会)。

 長距離フェリー協会は、「当協会に所属する8社の14航路、計35隻が減る予定はない」と話します。

【了】

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コメント

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6件のコメント

  1. 寂しくなるな。
    まあマルエーの運営じゃ、しょうがないなとも思った。

    鹿児島航路まで旅客営業止めたら、会社としての存続すら問われる事態になるだろう。
    まずはないんだろうけどね。
    ゲップが出るほどガッツリ船旅したい人にはおすすめ。ただし、揺れが結構なものなので慣れていない人にはやや辛いかも。
    上級編?

  2. やはり普通の人にとっては、早い、揺れない、景色がよい、の飛行機のほうが良い、という事か。しかし貨物フェリーだけだと、大災害が起きて島民脱出、あるいは災害復興のための人員、資機材同時大量投入の際には不便になるんだろうな。単に人を乗せればすむ、という問題ではないし(食べるもの、出すものの対策は最低でも必要)。

  3. 直行はなくなるけど、さんふらわあで志布志、志布志から陸路で鹿児島、鹿児島からA"Lineで奄美・沖縄。。。と乗り継いで行くことは今後も可能。時間とお金に余裕があれば利用したい。

  4. 沖縄航路で一番大きなフェリーはどれくらいなんだろう?苫小牧で津波を乗り越えるフェリーの写真みたけどスゲーと思ったよ!海運て重要だよね

  5. かたやLCCも沖縄以上にバンバン飛んでる関西〜北海道は、新日本海フェリーが減便もせずにがんばってるし、夏などは今でも大混雑。

    こちらは結構前から高速船だし、自分の乗り慣れた車やバイクでドライブしたいと思う人が多いかどうかでだいぶ違うのかも。奄美にドライブしに行ってきたよって、さすがにあんまり聞かないもんなぁ…。

  6. 最近の情報ですと、船自体は大型化するようです(現有船約6300総トン→代替船約10800総トン、単純計算で約5割増)。また、代替船自体も東京~志布志~那覇間に新型船が就航する代わりに転配されるとの事です。