空港のガラス越し電話機が根強く残るワケ 保安基準見直しで別れのシーンに変化も?
地方空港を中心に、保安検査を済ませた人のみが入場できる搭乗ロビーと、一般の待合ロビーとで会話ができる電話機が設置されているところがあります。携帯電話が普及した現代ですが、どのように利用されているのでしょうか。
ケータイ時代に新設した空港も その利用者は?
秋田空港に「おなごりホン」なる電話機が設置されています。場所は、保安検査を済ませた人のみが入場できる搭乗ロビーと、一般の待合ロビーとを仕切るガラスの両側。ガラスの向こうにいる相手と、受話器を通じて会話できるというものです。
携帯電話やスマートフォンが当たり前の時代になぜ、と思う人もいるかもしれません。設置の理由を秋田空港ターミナルビルに聞きました。
――「おなごりホン」はいつ設置したのでしょうか?
保安検査場に入れないお客様が、通過後のお客様をお見送りするのにご利用いただくため、2010(平成22)年5月に設置しました。ネーミングについては、「別れが名残り惜しい」と「インターホン」をかけあわせ、社内で決めています。
――どのような方が利用されているのでしょうか?
ガラス越しに互いの顔を見ながら話ができることもあり、お盆や年末年始の帰省シーズンなどに、おじいさん、おばあさんとお孫さんが会話しているのをよく見かけます。
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このような電話機は、たとえば成田空港では「いまも昔も設置されていない」(成田国際空港)といいますが、地方空港ではほかでも見られるものです。
「またネ.コール」の名で導入している松山空港では「職員でもわからないくらい昔から設置されており、いまもなお多くの方が利用されています」(松山空港ビル)とのこと。一方、「もしもしコーナー」の名で複数台の電話を設置している函館空港では「設置は2005(平成17)年のことです。当時もすでに携帯電話が普及していたと思いますが、『保安検査を終えても、出発の直前まで声を聞いていただきたい』という思いから導入いたしました。利用されるのはやはり、小さなお子さんや年配の方が多いものの、若い恋人どうしも見受けられます」(函館空港ビルデング)といいます。
昔から残っているところもあれば、携帯電話が普及してから新たに設置したところもあり、「別れ」を演出するひとつの装置として親しまれているようです。秋田、松山、函館空港とも、撤去の予定はないそうです。
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