アクアラインで千葉県潤う? 開通20年、通行料負担の先で手にした果実とは

「アクアライン効果」で東関東道などへの影響は?

 千葉県は、アクアラインの経済効果についても試算しています。それによると、2014年4月から2016年9月までの2年半だけの数値ですが、首都圏全体で1155億円、そのうちの869億円、じつに75%のもの経済効果が千葉県にもたらされているといいます。

 千葉県の資料によると、たとえば木更津市や袖ケ浦市では、料金引き下げ以前の2008(平成20)年と引き下げ後の2013(平成25)年とで、人口がそれぞれ5.1パーセント、2.1パーセント増加したといいます。加えて、2013年4月にアクアラインへ接続する形で開通した圏央道 木更津JCT~東金JCT間のICを利用する交通のうち、およそ4割がアクアラインを経由しているとのこと。県が実施したアンケートでは、物流事業者の約6割が「料金引下げにより輸送ルートが変化した」と回答し、うち約8割が「湾岸ルート(京葉道路、東関東道)の利用が減った」としているそうです。

 実際、アクアラインの利用増により、船橋市、習志野市、千葉市などを経由する京葉道路、東関東道などの交通量は減少したのでしょうか。NEXCO東日本関東支社は、少なくとも東関東道の交通量は、近年もほぼ横ばいだといいます。

「当社としては、アクアラインの開通によって東関東道などの交通量へ影響を及ぼしたというより、『千葉県にお出かけになるお客様が純増した』と考えています。アクアラインを通過する高速バスの飛躍的な増加も、それを裏付けているかもしれません。開通とともに4路線、往復121便が設定されましたが、2015年7月時点で23路線、往復476便まで増えており、この交通網の広がりがレジャーだけでなく、房総半島への定住促進にもつながっているようです」(NEXCO東日本関東支社)

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木更津金田ICから見たアクアライン(画像:NEXCO東日本)。
アクアラインを通る高速バス路線網。2015年7月時点(画像:NEXCO東日本)。
アクアラインを通る高速バスの路線数、便数の推移。H27は2015年7月時点(画像:NEXCO東日本)。

 NEXCO東日本関東支社は加えて、距離のうえでは、たとえば東京駅周辺から木更津市以南などはアクアライン経由のほうが近いものの、市原市などは、東関東道経由とアクアライン経由とで同じくらいだといいます。たとえば首都高C1都心環状線の銀座ランプから、館山道の市原ICまでは東関東道経由でおよそ62km、アクアライン経由でおよそ65kmとほぼ変わりません。NEXCO東日本関東支社は「ルートの選択肢が広がった」といい、一方のルートが不通になっていたり渋滞していたりする場合に、もう一方を選択できるようになっています。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 東関道との比較など同じNEXCO東日本同士ならどんぶり勘定ではプラスマイナスゼロになるが、一番の問題は久里浜~金谷の東京湾フェリーへの悪影響。
    社会実験・暫定の筈の大幅値下げが事実上無期限化して、激安通行料で多くの行き来がアクアラインへ流出。その影響で3船体制だったものの老朽化でも買い替えが出来ず、(利用実態にも合わせて)現状は2船体制で減便されたまま。開通当初の社会実験は良いとしても、その後も当初予定とはガラリと変わり無期限に税金投入し、一方では不公平な運営を与儀なくされている民間企業・東京湾フェリーはジリ貧状態。
    800円で利用するドライバーは関係なく喜んでいるのでしょうが、余りにも不公平であり確実に明らかなる民業圧迫ですよね?アクアライン暫定料金を継続するなら、同レベルの補助を東京湾フェリーにも投入するべきなのでは? 以前に比べて便数が少なく、更に繁忙期には満車で少ない便数ではいつ乗船出来るのかも予測出来ず、余計に敬遠されてしまっているかと・・・

  2. 海ほたるの渋滞も目を覆わんばかりだ。
    あれを目の辺りにすると、800円措置も考えものだ。アクアラインバスの定時性にも直撃する。

    フェリーにも援助をしてリニューアル、ドライバーの目を引き付けるのも手だけれど、南房総にシーワールド程度しか目ぼしいモノがないのが致命的で、浜金谷付近の道路が貧弱なのも足枷だ。
    対策としては、往復で手段を分ける企画パスぐらいしか思いつかないが、検討の余地はあるのではないか。