操船の自動化、研究の最前線とは? 日本郵船ほか5社、最新研究の一部を公開

自律操船にはあと2ステップ?

 今回公開された「船舶の衝突リスク判断を容易にする技術」についてはしかし、自律操船実現のための第一段階といいます。次のステップとして遠隔操船の実験を予定しているとのことですが、現状、通信環境がネックといいます。

 外洋においては衛星通信が利用されますが、その通信環境は現状、最大でも1Mbpsといいます。NTT東日本の「フレッツ光」サービスは最速1Gbpsとのことですが、こちらだとたとえば1秒程度でダウンロードできる15分程度の動画ファイル(125MB)が、1Mbpsの環境だとおよそ16分半かかる計算になります。実際には512kbps程度の衛星通信アンテナを積んでいる船もあり、そしてアンテナ代と通信費で数百万円にもなるといいます。通信環境の改善にはまだ少し時間がかかりそうです。

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日本郵船の自動車専用船「アリエス・リーダー」に搭載された古野電気の衛星通信アンテナ。通信速度は512kbps(2017年12月17日、乗りものニュース編集部撮影)。

 通信の速度だけでなく、途絶も問題です。さらに先のステップである自律運航には、通信速度はもちろん、途絶なくつながっていることが前提といいます。

 また、陸上でオペレーションするための施設と体制の整備、オペレーターの確保(教育、育成)、法整備もこれからの課題です。

 さらに、遠隔操船時に必要なものとして、研究のもうひとつの柱である「コンピュータービジョンを利用した航海支援ツールの研究開発」が挙げられています。軍用機のヘッドアップディスプレイのように、可視光カメラの映像上に他船のマーカーを表示するなど、映像処理、認識技術を活用した対象の検出を目指すというものです。クルマでは類似した技術がすでに実用化されていますが、遠隔操船での利用を考えると、それ相応の精度が問われるでしょう。

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会場受付に飾られた国際信号旗。こちらは3レター信号で「UW2」を表し、「ようこそ」の意味になる(2017年12月26日、乗りものニュース編集部撮影)。

 このように解決すべき課題はまだ残されていますが、しかし実現すれば、航海当直の体制が見直しできるだけでなく、たとえば船から降りた運航経験者を、オペレーションセンターで雇用できるといったメリットも考えられるといいます。

 遠隔操船の実験は、2019年の開始を予定しているとのことです。

【了】

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コメント

1件のコメント

  1. 陸とは違って潮とか波とか風とかの向きとか強さとかで簡単に針路が変わるし、海に明確な道があるわけでもない。実用化は相当厳しい。それでも他船からの緊急回避が可能なら、30年前のフィリピンの沿岸客船ドニア・パス(約2600総トン、本来の定員約1500名、但し実際乗船4200名以上、乗船名簿未整備のため実数不明)と、小型ガソリンタンカーヴェクター(約700総トン、26名乗り組み、1000tガソリン満載)との衝突炎上事故(生存者ドニア・パス側22名、ヴェクター側2名。死者、行方不明者双方合計最低でも4200名以上、実数不明)のような衝突事故は減るだろう。