クルマの暖房は燃費に影響する? 「A/C」ボタンで何が変わるのか

暖房は燃費に影響する?

 デンソーに再び話を聞きました。

――冷暖房は燃費に影響するのでしょうか?

 暖房は、エンジンの廃熱を利用しているのであまり燃費に影響しませんが、冷房のコンプレッサーはエンジンで動かしているので、そのぶん燃料を使い、燃費も悪くなります。

――送風の強弱で影響はあるのでしょうか?

 燃費への影響はそれほどありません。

Large 180221 aircon 02
ヒートポンプ式エアコンは、外気の熱をくみ上げて暖房に利用する(画像:デンソー)。

――暖房はエンジンの熱を利用しているとのことですが、エンジンのないEVではどうなのでしょうか?

 ガソリン車のカーエアコンと異なる点は、EVやHVのコンプレッサーはエンジンの動力でなく、電気で動かす電動コンプレッサーを搭載している点です。エンジンのないEVはもちろん、PHV(プラグインハイブリッド車)やHVも「EVモード」の場合は暖房時にエンジンの廃熱が利用できないため、電気ヒーターを搭載しています。このため暖房時の燃費はガソリン車と比べると大きく悪化します。

※ ※ ※

 デンソーによると、EVなどでは暖房の電気使用量が大きく、航続距離にも影響するとのこと。このため、最近の車種では外気の熱エネルギーを利用する「ヒートポンプ方式」が採用されているといいます。

「ヒートポンプは外気の熱を利用し、少ない電力で大きな熱エネルギーを得ることができる方式で、従来から家庭用エアコンなどに使われています。低温・低圧な状態の冷媒と外気温とでは、外気のほうが暖かいので、高温から低温へ熱が移動していくという自然な原理を利用して外気の熱を暖房に活用します」(デンソー)

 ただ、外気温が低いと、そのぶん冷媒との温度差が小さくなり、ヒートポンプによる暖房能力は低下します。そのためHVなどでは、外気温が0度前後になると自動でエンジンが始動し、ガソリン車の暖房方式に切り替わりますが、「ガスインジェクション」と呼ばれる機構を採用した2017年2月発売の「プリウスPHV」は、外気温マイナス10度までヒートポンプによる暖房使用が可能だといいます。

【了】

この記事の画像をもっと見る(3枚)

テーマ特集「【自動車】意外と知らない! 明日使える自動車トリビア」へ

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

6件のコメント

  1. 寒冷地でプリウスに乗ってる奴にこの記事見せたい。

    • EVじゃないんだからHVのメリットのがでかいよ。

  2. トルクの太いエンジンならそんな変わらないだろ
    実際クリーンディーゼル車だとDPRなどの自動再生のアイドルアップのほうが燃費に影響でそうな感じだけど実際にはエアコン同様に影響は少ないと聞いた気がするが?

  3. ヒートポンプの説明は冷房にも使った方が良い。暖房の調節は冷却水量ではなく今はエアミックスのはず。エアコン稼働の為にアイドルストップが中断する事も記載がほしい。今さら空冷エンジンの暖房に触れる必要はないだろうけどね。

  4. 日本の車の場合は、エンジンが小さいので燃費向上のためエンジンの回転数を低めにしている。
    エアコンを作動させると回転数が上がるので燃費は悪くなる。
    大排気量の車の場合はほとんど変わらない。

  5. 日本でも極寒の北海道や東北、もっと言えばフィンランドやロシア北部、アラスカなどの−40℃とかワケ分からんくらいの寒いところではどうするんでしょうね。寒冷地仕様のエアコンで−20℃くらいまでが限界。エンジン廃めたら熱源が電熱しかなく、そんなことしたら直ぐに立ち往生。昔みたいに煙突上げてダルマストーブでも焚くのかな。