欧州と争った台湾高速鉄道に新幹線が走るまで『南の島の新幹線――鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記』発売
日本の新幹線技術が採用されている台湾高速鉄道。しかし建設にあたり、まず優先交渉権を得たのは欧州連合でした。そこからどう新幹線が台湾に認められたのか、プロジェクト関係者による、日本の奮戦を記した書籍が発売されました。
まず優先交渉権を得たのは欧州連合だった台湾
ウエッジより2018年2月20日(火)、新幹線の技術を採用し、2007(平成19)年1月に開業した台湾高速鉄道についての書籍『南の島の新幹線――鉄道エンジニアの台湾技術協力奮戦記』が発売されました。
著者の田中宏昌さんは、1963(昭和38)年に東京大学工学部を卒業したのち、日本国有鉄道へ入社。東京第一工事局次長、構造物設計事務所次長を経て、1984(昭和59)年に国連ESCAP運輸通信観光部鉄道課長へ就任。帰国後はJR東海の取締役関連事業本部長、専務取締役新幹線鉄道事業本部長、代表取締役副社長を歴任し、2002(平成14)年より台湾高速鉄道プロジェクトの技術指導を担当した鉄道エンジニア、工学博士です。
日本ではなく、まず欧州連合(ユーロトレイン)が優先交渉権を得ていた台湾の高速鉄道建設。そこに日本の高速鉄道「新幹線」の技術が採用されるまで、技術力はもちろん知力や政治力、交渉力など、持てる力を全て振り絞っての「知的格闘技」が始まったといいます。
本書は11章立てによるその「奮戦記」。四六判240ページ、1700円(税別)です。
【了】
台湾新幹線に昨年乗車。内部は新幹線そのものですが、純正新幹線ではないようですね。新幹線は車両だけでなくトータルなシステムとして存在しています。逆に言えば、そうならなかったところに受注の苦労が偲ばれます。