片道たった36分のSL列車「大樹」乗車レポート 短い時間だからこそのサービスとは?
差し出された石炭!
車内から姿は見えなくても、蒸気の迫力、煙の匂い、揺れ、急勾配での苦しそうな音などSLならではの魅力を楽しんでいると、あっという間に発車から30分が経って、東武ワールドスクウェア駅に到着。車窓からも確認できる、ミニチュアパーク「東武ワールドスクウェア」のミニチュア東京スカイツリーは必見です。
ここから終点までは、わずかの距離。アテンダントさんの「ご乗車ありがとうございました」の挨拶で、車内にわーっと拍手が起きました。乗客の一体感を味わえるのも醍醐味です。
終点の鬼怒川温泉駅で降りると、SL「大樹」はしばらくそこで停車。たっぷり撮影する時間が取れました。後方のディーゼル機関車にもヘッドマークが付いていたり、ホームにはSL「大樹」のデザインを施した自動販売機があったりと、撮影ポイントを探してみるのも面白そうです。
車掌車と客車の切り離しもしっかり撮影し、最後にもう一度C11を見せてもらおうと近づくと、機関士さんが石炭を見せてくれました。すごいサービス精神です! すっかりSL「大樹」のファンになってしまいました。
最後のお楽しみは、SLの向きを変える作業です。改札を出るとすぐの駅前広場に、大きな転車台が見えてきます。誰でも見学できるとあって、地元の方も待ち構えており、SLが入ってくると大盛り上がり! アトラクションのように楽しいアナウンス付きで、転車台の回転を途中で止めてシャッターチャンスを作ってくれるなど、最後まで全く飽きませんでした。
初めてのSL「大樹」。いままで乗らなかったことを後悔するほど終始楽しく過ごせたのは、「おもてなし」というより、短い時間でもよりたくさん楽しんでもらうための、一歩踏み込んだ積極的なサービスによるものだと感じました。車掌さんも機関士さんも駅員さんも、SLを誇らしげに、嬉しそうに話してくださるのが印象的で、おひとりおひとりの想いが「大樹」を作っているのだと頼もしく思いました。
【了】
日記