復旧進むも「発車時刻」見えぬ線路 熊本地震から2年、一部不通続くJR九州・豊肥本線(写真30枚)

熊本地震と豪雨で被災し、一部区間が不通になっている豊肥本線。復旧工事が進められていますが、運転再開の見通しは立っていません。被災現場を見たところ、再び列車が走るまでには、まだしばらく時間を要しそうです。

2割で工事完了、しかし運転再開はまだ見えず

熊本地震とその後の豪雨で大きな被害を受けたJR豊肥本線はいま……(2分7秒)。

 2016年4月14日の熊本地震発生から2年。しかし、大分駅と熊本駅を結ぶJR九州の豊肥(ほうひ)本線では、いまだ熊本県内の肥後大津~阿蘇間およそ27kmで不通が続いており、運転再開の見通しも立っていません。

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線路が土砂で地盤(盛土)ごと流された豊肥本線(2018年4月9日、恵 知仁撮影)。

 豊肥本線の同区間では、震災2か月後の豪雨で、地震で緩んでいた地盤が崩れるなどして被害が拡大。あわせて約50か所が被災しました。

 JR九州は、震災から1年後の2017年4月に復旧事務所を設置。それからこれまでの1年で、約50か所のうち2割で工事が完了したそうですが、復旧の見通しはまだ立たないといいます。「場所の数」でみると2割で工事が完了したものの、被害の大きい場所が残っていたり、斜面の崩壊や亀裂、石などのため線路工事前に対策が必要であったり、その現場へのアクセス道路がなく工事が困難だったりするためです。

 そこでJR九州は、被災区間内にあり、道路でアクセスしやすく、スペースもある立野駅(熊本県南阿蘇村)をまず復旧。そこを拠点にしてレールを敷き直していき、被災現場へレールを使って資材を搬入。線路に隣接する崩壊斜面の工事を担当する熊本県などと協調しながら、復旧を進めていく計画です。

「ひとつずつ被災箇所を工事していき、できるだけ早く復旧させたいと思っています」(JR九州 豊肥本線復旧事務所 所長 淵脇 晃さん)

 なおJR九州は黒字会社であるため、復旧費用は同社が全額を負担します。熊本地震によって、立野~高森間を結ぶ第三セクター方式の南阿蘇鉄道でも、立野~中松間がいまなお不通ですが、こちらは、国が大規模災害で被災した赤字の鉄道事業者に対しては支援する方針であることから、復旧費用の実質97.5%を国が負担します。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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3件のコメント

  1.  「黒字会社の場合は全額自腹で復旧させろ」「それでは第三セクター化か廃止のどちらかで(経営から)撤退させて頂きたいのですが」となってもおかしくはない。
     巨大地震などの大規模自然災害での被害に関しては会社全体ではなく路線または被災した区間が黒字か赤字かで補助金を支給するのが筋じゃないかと思う。利用者が極端に少ない路線のみを持っている赤字の鉄道会社のみに対して復旧費用の実質97.5%を国が負担する方がおかしい。黒字の鉄道会社に対しても国が一部を負担するのが筋だと思う。

  2. JR九州は不動産部門や外販部門が好調だから黒字を確保してるけど実質は赤字です。特に鉄道部門はこうした災害に見舞われやすい路線や過疎地帯を走る路線をいくつも抱えてます。

  3. 本当に甚大な被害だったということを痛感する。
    利用者としては一日も早い復旧を願う以外にない。