F-35「やっぱり導入したくない!」でも、難しい…? 踏んだり蹴ったりのカナダ 20年越しのジレンマ

これまで紆余曲折を経てきたカナダのF-35A導入計画ですが、これに再び暗雲が立ち込めています。トランプ大統領の発言や関税措置の発動を背景に、再び導入キャンセルの声が上がっていますが、じつはそれほど単純な話ではなさそうです。

紆余曲折なカナダのF-35導入計画

 2025年3月17日付のブルームバーグは、カナダのマーク・カーニー首相が、3月14日に行われた首相就任宣誓式の直後にビル・ブレア国防相に対して、F-35「ライトニングII」戦闘機の導入契約見直しを指示したと報じました。紆余曲折を経たカナダのF-35導入計画が、再び暗礁に乗り上げるのでしょうか。

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航空自衛隊で運用されているF-35A(画像:ロッキード・マーチン)。

 カナダ空軍は2025年4月現在、CF-18(F/A-18A/B)「ホーネット」戦闘機を85機運用していますが、同機は1980年代前半から導入が開始されており、2000年代には後継機の選定作業が本格化していました。

 そこでカナダは2002(平成14)年にF-35の共同開発への参画を決定し、開発費として1億5000万ドルを拠出しています。このためカナダのF-35導入は規定路線と見られており、2008(平成20)年にはF-35A 65機の導入を決定しました。

 しかし2012(平成24)年4月にカナダの会計検査院が、この後継機選定プロセスについて、最初からF-35Aの導入という結論ありきで行われたとの指摘をしたことから、当時の保守党政権はF-35Aの導入を一旦保留としました。

 その後2015年に行われた総選挙で、CF-18の後継機種選定を最初からやり直すと公約に掲げた自由党が勝利しました。当時同党の党首で、総選挙後に首相へ就任したジャスティン・トルドー前首相は公約通りF-35Aの導入を白紙撤回し、CF-18の後継機種選定は改めて最初から行われることになりました。

 CF-18の後継機選定は2010年代後半に仕切り直され、その結果2022年3月28日に、F-35Aが選定されました。F-35Aの引き渡しは2026年から開始される予定となっており、カナダ空軍はようやく新戦闘機を導入できる……と、ほとんどの人が思っていたことでしょう。

 ここへ来てF-35Aの導入契約見直しが浮上してきたのは、アメリカのドナルド・トランプ大統領のカナダに対する姿勢によるものです。

 トランプ大統領の世界各国に対して巨額の関税措置を発動する方針は、隣国アメリカとの経済的結びつきの強いカナダ経済にとっては大打撃です。さらに、トランプ大統領は「カナダを(アメリカ合衆国)の51番目の州とする」と公言しており、経済的打撃を加えるだけでなく、自国への併合まで口にする大統領の率いる国からF-35を買いたくないと思う国民が少なからずいたとしても、不思議ではありません。

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コメント

1件のコメント

  1. F35導入が無くなったら、そのうちJ20の劣化版を受け入れる様になっちまうよ

    問題の本質はカナダが中国移民の受け入れ過ぎ

    気付かぬうちに思想が中華になってるよ