路線バスに「WAON」、北海道で導入 商業系電子マネーでの運賃決済は広まるか

車内で「チャージ」不可 普及には課題も

――交通系ICカードと、利用方法に違いがあるのでしょうか?

 均一運賃の路線では1回、他区間運賃制の路線では乗車時と降車時に1回ずつ、ICカードリーダーにタッチして支払いますので、使い方の面では交通系ICカードと変わりありません。ただ、車内ではチャージに対応しておらず、決済のみです。チャージは「WAON」が利用可能な店舗で行っていただく形になります。

※ ※ ※

 交通機関におけるICカードの普及や利便性拡大は、国土交通省も推進している課題です。2015年2月には「交通政策基本計画」を閣議決定し、サービスレベル向上や訪日外国人旅行者の増加に向けた取り組みの一環としてこれを位置付け、2020年度までに「Suica」「PASMO」などの相互利用可能な交通系ICカードを、全都道府県で使えるようにするという目標を定めています。

 交通系ICカードではなく、商業系ICカードの交通機関への展開については、どのように考えているのでしょうか。同省総合政策局公共交通政策部は、上記目標の具体化について検討した「交通系ICカードの普及・利便性拡大に向けた検討会」では特段取り上げていないものの、その立ち上げの前段階で議論はあったと話します。

「商業系ICカードとの共存は、システムの改修が必要で、早期の導入は困難だと判断したことから、検討会では議論の対象外としました。実際に『WAON』をコミュニティバスに導入している路線もありますが(編集部注:鳥取県の日ノ丸自動車と日本交通が運営するコミュニティバス『くる梨』、三重県の三岐バス『イオンモール東員線』など)、全国に存在する地域独自の交通系ICカードと同等のものとして捉えています。そこから交通系との相互利用を図るかどうかは、事業者次第でしょう」(国土交通省総合政策局公共交通政策部)

 イオン北海道は「WAON」の公共交通機関における今後の展開について、「事業者からお話があれば拡大したい」と話します。交通系ICカードとの相互利用も、現段階では考えておらず、市民の声があれば検討したいとのことです。

【了】

この記事の画像をもっと見る(2枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. 記事には、交通系ICカード以外の電子マネーによる多区間運賃決済は全国初の取り組みと書かれてますが、
    既に数年前から沖縄の「やんばる急行バス」が楽天Edy決済を導入しています。
    運転手が決済端末に金額を手入力する方法で、整理券後払い式、事前申告先払い式両方とも楽天Edy使えます。