赤十字マークの救急車あまり見ないワケ 自衛隊では逆に一般的なのも実は同じ理由

広く知られる「赤十字マーク」ですが、たとえば救急車の多くにはそれが付いていません。一方、自衛隊においてはそれこそが救急車の証にもなります。その違いは、実は同じ理由から説明できるものでした。

扱いは厳格なのに規格はユルいワケ

 この赤十字マークですが、実は厳格な規格はありません。白色系統の背景に赤色系統でで十字を描いていれば、形や寸法にはとらわれずに効力を発揮するのです。なぜならば、戦場という場所の特性上、常に正規の旗や表示が用意されている訳ではなく、臨時で赤十字マークを作る必要があるかもしれないからです。そうしたとき、もし厳格に規格が定められていたとするならば、サイズや形が少しでも違うと、それを口実に敵に攻撃されてしまう恐れがあるためです。

Large 20180619 01
後方地域に展開する野戦病院テントに描かれた赤十字マーク(矢作真弓撮影)。

 赤十字以外にも同じ意味を持つマークがあります。それが赤新月とレッドクリスタルです。赤新月は十字がキリストを連想させるとの理由から主にイスラム圏で使用されており、レッドクリスタルは2007(平成19)年から新たに使用が認められたマークとして導入されています。

 そこで注目したいのが、自衛隊における赤十字の使い方です。一般の救急車には赤十字マークは使われていませんが、自衛隊の救急車には赤十字が描かれています。ほかにも、ヘリコプターやトラック、装甲車にまで赤十字が掲げられているものがあります。ではなぜ戦闘をすることができる装甲車などに赤十字が描かれているのでしょうか。

Large 20180619 02
赤十字を掲げる96式装輪装甲車(矢作真弓撮影)。

 自衛隊では、こうした戦闘車両であっても、赤十字を掲げているあいだは戦闘に加わることをせず、あくまでも傷病者の運搬のためだけに使用する、との明確な理由を掲げているからです。そのため、攻撃する気満々の車両が、敵からの攻撃を避ける目的で、わざと赤十字を掲げることはできません。これは背信行為といわれ、赤十字マークは攻撃しないという相手の信用を裏切ることになり、戦争犯罪となります。

 無秩序に行われていると思われる戦争行為なのですが、実は多くのルールに則って行われているのです。それが国際人道法であり、そのなかのひとつのルールがこの赤十字の取り扱いなのです。

この記事の画像をもっと見る(7枚)

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 空母いぶきじゃ中華空母の護衛だけどな。

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  3. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 海自潜水艦 アメリカ海軍の“歴戦の揚陸艦”を標的に魚雷発射! 実弾演習で巨大な水柱があがる瞬間を公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開