発売から100年以上 ロングセラー駅弁ベスト5! 鉄道文化の生き証人「百年駅弁」の世界

素朴さ、懐かしさが人気の秘密!

特製親子辨當(べんとう)

 1905(明治38)年から販売。「親子」の名の由来は、鶏肉と卵を使っているから。容器には昔ながらの経木を使用し、ご飯の上に甘辛く煮つけたフレーク状の鶏肉と炒り卵が載ったシンプルな弁当だ。現在は根室本線・池田駅前の店舗でのみの販売だが、十勝ワイン漬けステーキ弁当(1080円)と一緒に注文すれば駅のホームまで届けてくれる。受け取りの際には小銭の用意を忘れずに。

・池田駅(北海道池田町)、648円
・レストランよねくら:電話015・572・2032

伝承鯵(あじ)の押寿し

 1913(大正2)年の販売開始以来、変わらぬ味を伝えている。当時、相模湾で湧くように獲れたアジを駅弁に使った。一つの握り寿しに、伝統の合わせ酢で締めた小アジの半身を使うというぜいたくな作りで、アジは薄皮を残した調理法により独特の歯ごたえが楽しめる。また1899(明治32)年発売開始の「サンドウヰッチ」(530円)は、日本で初の駅弁サンドウイッチで、1世紀以上の歴史の鎌倉ハムが味わえる。

・大船駅(神奈川県鎌倉市)ほか、1280円
・大船軒:電話0467・44・2005

鯛めし

 相模湾の幸を使って1907(明治40)年に誕生。ご飯の上にタイのおぼろを敷き詰めたシンプルな弁当だが、おぼろ作りには手間がかかっている。独自の調味料を使ったおぼろはほんのり甘く、かみしめるとうま味が滲(にじ)み出てくる。味付けご飯や山椒漬けが甘さを引き締める。小鯵押寿司(1030円)も1903(明治36)年から販売するロングセラー。大船軒の「鯵寿し」と食べ比べてみるのも面白い。

・小田原駅(神奈川県小田原市)ほか、830円
・東華軒:電話0120・70・1186

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特製親子辨當。
伝承鯵の押寿し。
鯛めし。

 これらの駅弁が支持され続けている理由は何だろう。ふたを開けると、おかずがたくさん入っているものや彩り豊かで派手な駅弁は少ない。人気の秘密は、また食べてみたくなる素朴な味わい、故郷の食卓を思い出すような懐かしさ、慣れ親しんだ日本的な味付けなどにあると言えるだろう。

 こうした弁当を味わう時、当時の汽車旅がどのようなものだったのか想像すると、一層味わい深くなる。今より狭くて硬い座席に向かい合わせで4人が腰掛け、見知らぬ人とのあいさつは「どちらまで……」。そこから会話が生まれ、名物や駅弁の情報が交わされる。向かいの乗客につられて買った弁当がおいしかったり……。車窓の景色を見ながら箸(はし)をつける駅弁には、普段の食事では決して味わうことができない“うまみ”が詰まっている。

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『旅行読売』2018年7月号。特集は「お得なきっぷであの空、海へ」。付録の特大鉄道路線図では「百年駅弁」とともに「五十年駅弁」も紹介。

・旅行読売(Fujisan.co.jp)
http://www.fujisan.co.jp/product/2782/ap-norimono

【了】

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コメント

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3件のコメント

  1. 列車の窓から直接買う弁当とプラの容器で飲む茶が格別だったけどな、峠の釜飯も機関車を脱着する間に買ってみたり
    廃止後も車で18の碓氷を上る手前で買って車で食べたけど味気無かったし

  2. 100年の歴史はないが、東京駅発で旅行に出るときはチキン弁当が欠かせない。

  3. 新横浜駅から新幹線に乗るときは、ついつい崎陽軒のお弁当を買ってしまいます?