たった12席の豪華夜行バス、運転士もスゴイ! 揺れない運転のために「靴を脱ぐ」ワケ

「揺れない運転」は創立者の信念 靴を履いて運転してもいいが…

 海部観光は1996(平成8)年に創業し、2006(平成18)年、当時のいわゆる「高速ツアーバス」に参入した比較的新しいバス会社です。創業者の打山 昇さんはもともとバスの運転士で、現役時代、ほかのバスから降りてきた乗客たちがぐったりと疲れた顔をしているのが気になったといいます。以来「揺れない運転」を心がけるようになり、それを追求した結果、靴を脱ぐという独自の運転技術を身につけたのだそうです。それは、「打山さんが運転するバスは山道でも酔わない」と乗客の中で評判になるほど、快適な乗り心地だったとか。

「靴を脱いでしまったら有事の際に危険だ」という意見も社内にはあったといいます。しかし、靴を履いた状態でペットボトルを倒さず運転するとなると微調整がより難しくなるという運転士もいて、結局は「靴を履いている・いないに関わらず運転のクオリティは落とさない」というルールが定着したそうです。

 ただ実際は、靴を履いて運転の質を保つことができる運転士はごく少ないといいます。業務中の靴を脱いでの運転に慣れてしまい、自家用車を運転するときも靴を脱がないと違和感がある、という運転士もいるとのこと。ちなみに、道路交通法などでは、運転中の履物について規定はあっても、履物を履かないで運転することについては特に規定されていません。

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「マイ・フローラ」外観。車両は三菱ふそうのスーパーハイデッカー車両「エアロクイーン」(画像:海部観光)。

 ともあれ、「お客さんに疲れた顔でなく、すっきりとした元気な顔で降りてきてほしい」という内山さんの信念は社員に受け継がれ、この信念を追い求めた結果、「マイ・フローラ」に結実したといいます。揺れない運転技術を身につけた運転士集団のなかで、さらに性格、接客、技術などが認められた社員だけが、このバスの乗務員になれるのだそうです。

 ちなみに、海部観光では東京~徳島間の夜行路線だけでなく、京阪神の主要地と徳島とのあいだで多数の昼行便を運行しています。夜行便には、昼夜逆転の生活に無理なく適応できる乗務員を選んでいるとのこと。どんなに努力しても夜型の生活に十分適応できない人もいるからだそうです。乗務員の疲れが取れずにいると繊細な運転ができなくなるといい、夜行バス車内にある乗務員用仮眠室も、他社のものより広く作られています。

【了】

記事制作協力:風来堂

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コメント

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14件のコメント

  1. モータースポーツのドライバーも特別に柔らかく作った試合用の靴を履くらしいし「革靴等じゃないほうが思い通りの運転をできる」って意見は本当だろうと思います。

  2. 釈迦に説法で申し訳ありません。
    運転手の靴の写真が気になりました。
    撮影のために靴を置いたと思いますが、もしこのまま運転していたら、万が一靴がペダルの下などに入ってしまい、事故の元となります。

    読者が真似しないためにも、注釈を入れていただければ幸いです。

    • あんたは神か

    • バスの運転手、みんなそこに置いてますよ。

    • 危ないお釈迦様ですね、それどころかバス丸ごとお釈迦にするつもりでなんでしょうか!?
      ロボットの足じゃあるまいし生身の柔らかい人間の足、しかも靴下履いて?
      これじゃ緊急回避なんかできません、どころか通常操作でも支障を来すんじゃないでしょうか?

    • このレベルになると事故らないんだよ絶対に
      事故のことを気にしている段階で まだまだ

  3. 靴を脱いでの運転は道路交通法上違反ではなかったでしょうか 

    • 下駄やサンダルはダメですけど裸足は違反ではなかったと思います。
      ただ、こういう運転の職人たる二種免を所持する者や運行組織が揺れない運転を靴を履かないことで実現するなどとは嘆かわしいかぎりですね
      翔ちゃんパパさんもタクシーを利用したことがあると思いますが
      ドライバーさんが椅子を目一杯前に出してるのは後席へのお客様への配慮を兼ねたブレーキを踏み切る安全対策なんですね。
      車検場に車を持ち込んでブレーキ試験を受験すれば普段の座席位置と裸足では先ずはブレーキ試験は落ちるんじゃないですかね
      試験は三回まで可能なので直せば受かりますが
      こうして世間では実質止まれない車が蔓延してるんですよ
      しかし靴を脱いで揺れない運転とか?まやかしの好感度アップにしか思えませんよ

  4. 乗車率が高いのは鉄道に対して特に徳島路線は乗り継ぎが無いことや道路が距離的に有利であることの証ではあるまいか?
    他の四国路線も平日は満席はあるけど2号車の続行を出すまでに至らないのが現実ですかね
    それと神業のごとく讃えられている靴を脱ぐペダル操作ですが、緊急時にブレーキペダルを完全に踏み切れるか?となってくると疑問ですがね
    バスは今のところ吊り下げ式のブレーキペダルてアクセルペダルは少ないですが
    吊り下げ式のブレーキでは気味が悪くて靴脱いで操作なんかできないし足の柔い部分や形でペダルにかかる力が緩和されて逆に危険だと思いますがね
    よくブレーキ試験をする時に靴の下に板一枚かませてやる方法もあるほどですからね
    自転車で靴を脱いで漕ぐとよく分かりますよ
    それとシートポジションも大切ですね。
    シートを下げすぎたり上げすぎたり、足がペダルの行程以前に延びきる位置では最大の制動力は出せませんよね
    実はクラッチミートであったり微妙なブレーキ操作は足全体の感覚だと私は思いますがね

  5. 事故った時に足を切る怪我をするし、ガラスが割れて踏む危険もある、 新しい車なのにペットボトル倒さずに運転できないとかよっぽど…
    上手い人は20年前の古い車でも出来るのにw

  6. 私のデビューは平成3年
    当時は、表面張力の水入り紙コップで
    同じように先輩に言われやられました。水をこぼすなと、
    ペットボトルの半分くらい
    出来て当然だと思いますがね。

  7. 追伸
    後 先輩の教えで
    例えば 乗客に 小さな子ども達がスヤスヤ寝てる姿を
    ミラーで見た時
    起こさない様にバスを操れと
    うるさく言うれたものです
    新人の頃は、お前はバスに乗られてるとも言われ
    このバスを乗りこなすにと指導されたものです。

  8. 創業者の名字は、打山さん?それとも内山さん?
    どっちでしょうか?

  9. バス見ただけでゲロ吐きそう