鉄道車両の寿命どう決まる? 「わずか数年」「50年以上」を決める要素は

古くなくても廃車になることも?

 鉄道会社が利益を上げるために列車を走らせている以上、その車両が利益を上げづらくなった場合はたとえ寿命を迎えていなくても廃車にするケースがあります。

 JR東日本のE331系電車は、2006(平成18)年に数々の新機軸を組み込んで製造され、翌2007(平成19)年に京葉線で営業運転を始めました。しかし、改良や故障などからたびたび長期の運用離脱が生じ、ついにデビューからわずか4年後の2011(平成23)年からは営業運転に就くことなく、2014(平成26)年に廃車となりました。

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名鉄1600系電車のク1600形は特急列車の営業施策のあおりを受け、製造後9年で廃車となった(児山 計撮影)。

 また、営業施策の都合で廃車された例としては名鉄の1600系電車が挙げられます。1600系は1999(平成11)年に全車両指定席の3両固定編成で登場しました。しかし、2008(平成20)年に特急列車は、中部国際空港を発着する「ミュースカイ」を除いて特別車(指定席)2両と一般車(自由席)4両をつないだ6両編成に統一されることとなり、1600系も改造の対象となりました。

 1600系3両編成を2両編成に短縮する際に余った先頭車両の「ク1600形」は、製造後わずか9年でしたが、ほかに使い道もないため廃車となりました。

 ダイヤ改正も廃車のきっかけとなる事案です。特にスピードアップが関係する場合、走行性能の劣る古い車両を一気に淘汰するケースも珍しくありません。

 東海道新幹線では、2階建て新幹線100系がこの例に当たります。100系は1985(昭和60)年から製造が始まりましたが、1992(平成4)年の300系投入と「のぞみ」の運転開始をきっかけに、東海道新幹線の最高速度は220km/hから270km/hに引き上げられました。しかし100系は270km/h運転に対応できず、東海道新幹線の高速化の足かせとなるため、東海道新幹線から100系は撤退。山陽新幹線では4~6両に短縮して使うため、まだ製造から11年程度の車両もあったにもかかわらず廃車が進みました。

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コメント

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6件のコメント

  1. 近江鉄道がいろんな意味ですごいと聞いたことがある。
    人によってはリアルサイズ鉄道模型工作と。

  2.  阪堺電気軌道の、昭和3年製現役車両の事はなぜ載せないのですか?

  3. おけいはんの1000系(700系の車体流用。主要機器を新製。その700系は旧1000型などの主要機器流用。車体を新製)とか2600系0番台(2000系(製造初年1959年)の車体や一部機器流用)とかも載ってないですね……。まぁなんたっておけいはんは「流用」(新車に旧型車のパンタグラフ流用したり現特急車に前特急車の主電動機(予備部品なので新品)を流用したり……)が多い会社だから。

  4. 走行距離や営業速度の影響が大きいという面は自動車も似ていますね。
    自動車でも構内作業用のトラック等に驚く程状態の良い旧型車両が使用されていることがあります。

  5. 所詮は全部結果論です。
    運の良し悪しは車両に限らず人間でもあるでしょ。
    長生きする人、早死にする人。千差万別です。

  6. 1700系も併結相手の2300系30番台と相性悪いみたい事や他の2200系と座席配置や定員が異なっているとかで、2200系を新造して廃車にするみたいですからね。
    結果論にすぎないけど、3両のまま当時の長野電鉄に売っておけばよかったのかもしれない。ちょうど2000系の変え時だったし。ただ、当時は屋代線廃止とか長野電鉄もそれどころじゃなかったけど。