日本最北「稚内~サハリン」定期航路、その実態 夏だけの日ロ共同運航は波乱含み

毎年、夏季限定で北海道の稚内港とロシア・サハリンのコルサコフ港とを結ぶフェリーが運航されています。日本では数少ない国境越え定期航路。3年前に運航主体が変わったこともあり、手探りの部分も多く、2018年の運航に際しては紆余曲折の経緯がありました。

急遽運航中止、からの急遽運航再開

 日本と外国を結ぶ国際航路は数少なく、現在はロシア、韓国、中国とのあいだで数路線が就航しています。そのうちロシアへ行けるのは、韓国のDBSクルーズフェリーが運航する境港(鳥取県)~東海~ウラジオストクの航路、そしてもうひとつが、北海道の稚内とサハリン・コルサコフを結ぶ航路です。稚内~コルサコフ航路は日本側の代理店である北海道サハリン航路(稚内市)と、ロシアのサハリン海洋汽船(SASCO)の共同運行で、例年8~9月の夏季限定で運航されています。

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稚内港に停泊する「ペンギン33」(画像:北海道サハリン航路)

 じつはこの航路、2018年の運航にあたっては紆余曲折がありました。3月時点では前年までと同様に運航する見込みだったのですが、5月になると、北海道サハリン航路から「今季の運航を取りやめる」との発表が。これまで日ロの両社がそれぞれの国の行政から補助金を受けて運航してきたのですが、今季はロシア側の手続きが大幅に遅れ、その後に行う予定だった稚内市の予算承認が間に合わなくなってしまったためです。

 両社で合意もなされたということで、運航は断念かと思われました。しかし6月に状況は一転、運航再開との発表がありました。今季のみの特別措置として、それまでは折半していた経費をロシア側が全額負担するというのです。乗客の多くは休暇中のロシア人観光客ということもあり、航路の存続にはサハリン州の強い意向がありました。

 こうした複雑な経緯を辿りましたが、8月8日(水)から前年と同様、定員80名の「ペンギン33」というフェリーで運航を開始。9月22日(土)まで週3往復の頻度で、計19往復38便が運航される予定です。

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コメント

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1件のコメント

  1. >今季のみの特別措置として、それまでは折半していた経費をロシア側が全額負担するというのです。乗客の多くは休暇中のロシア人観光客ということもあり、航路の存続にはサハリン州の強い意向がありました。

    もっとニュースとして取り上げた方が良いと思います。