関門海峡歩いて渡れる海底トンネル、相当な維持費がかかっても無料のワケ(写真19枚)
維持費は「相当」
人道トンネルの有料利用者(自転車・原付)はあまり多くはなく、通行料収入は今年度、1日あたりの平均で約2300円とのことですが、保守や管理には相当な費用がかかっています。1998(平成10)年度に更新された一般用エレベーター(下関側、門司側合わせて6基分)のメンテナンスだけでも多額の費用がかかるそうです。
また、車道トンネルと合わせて大規模なリフレッシュ工事を行うこともあり、2010(平成22)年の工事の際には108日間という長いあいだ、車道も人道も通行止めとなりました。車道の方は関門橋(普段は高速道路用)へトンネル利用料金と同額で迂回する措置が取られましたが、関門橋の利用ができない歩行者や自転車はそうもいきません。ではどうしたのかというと、歩行者、自転車、原付の利用者を工事期間中108日間、毎日、バスとトラックにより、人道トンネルの供用時間である午前6時から22時まで関門橋を通り無償で搬送したのです。サポートの手厚さに驚きますね。
通行料無料でも維持され続けるウラの理由とは?
相当な維持費がかかる人道トンネルを維持し続けるのには、国道トンネルの歩道として関門海峡の人の往来を支える地域に欠かせないインフラという以外にも、実は非常に重要な役割を持っています。
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一般的に車道のトンネルには、長さや交通方式などによって非常口や緊急避難通路を設置する決まりとなっていますが、戦前に建設が始まった関門国道トンネルにはそれがありません。そこで大規模な火災などが発生し車道トンネルから避難するような際に人道トンネルが使われることがあります。全長約3.4kmの車道トンネルには、数か所に非常口があり、海底部については、緊急時にはクルマをトンネル内に置いたまま人だけが、人道トンネルに降りて避難する仕組みになっています。すなわち、関門国道トンネルにおける車道と人道は一体として管理されているものであり、相当な維持費がかかる人道トンネルだけを見た収支ではなく、それは車道と合わせて考えるべき数字ということになります。ちなみに1973(昭和48)年には(車道、人道あわせたトンネル全体としての)建設費を償還しており、人の通行についてはその前年の1972(昭和47)年から無料化されています。
人道トンネルには本州と九州を結ぶ大動脈である関門国道トンネルを、文字通り下から支える「縁の下の力持ち」の役割もあるのですね。
【了】
※一部内容を修正しました(9月1日11時45分)
Writer: 加藤久美子(自動車ライター)
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。
配信不要です。
もう送らないで下さい。
ほんとこれ
いらんコメントしないでください。
おもろい
2回ほどトンネルの工事期間で関門橋を安く利用できました。
今、壇之浦パーキングの展望台を兼ねた売店が閉鎖されて別の店舗で営業しているようですがリニューアルか完全な閉鎖なのでしょうかね
人道トンネルはツアーで歩いた記憶があります。
潮の急流を往き来する船の真下を歩くのも良し、高い場所から眺めるのも良し
巌流島などからは下関の造船所で建造中の船や進水式、就役を待つピカピカの船を観ることもできますし
観る処満載で武蔵、小次郎どころではありませんでした。w
そんな秘密ごとがあったのか
>門司側は和布刈(めかり)山の中腹にあり、観光エリア「門司港レトロ」へのアクセスも良好です。
この人、門司側の地上に出たのだろうか。
和布刈の入口は、下関側から見える場所で、海岸の道の所なんだけど。
和布刈山の中腹にあるのは、車の排ガスの換気口。
知らないから聞きます。
距離はどれくらいですか?
私の探し方が悪いのか記事からはわかりませんでした。
ご指摘ありがとうございます。追記いたしました。
そろそろ、維持費の回収も兼ねて歩行者も自転車通行料と同じぐらいの通行料を採っても良いような(年期のエレベーターの保守費も在るもんで)