ロシア軍機伝統芸「トウキョウエクスプレス」とは 冷戦期以来の定番コース、目的は?

変わらぬロシア機、変わりゆく空自機

 明治時代は、相手を見つければ大砲の撃ち合いになりましたが、21世紀の「トウキョウエクスプレス」対応ではいきなり交戦とはなりません。しかし、戦闘機にはミサイルや機銃弾の実弾を装填しており、ロシア機も武装しています。お互いに相手の出方を探り合う緊張は変わりません。スクランブル任務では肉眼で目標を確認して写真撮影することが原則ですので、かなり接近しなければなりません。雲の無い蒼空を飛行する二重反転プロペラ4発という特徴的な外見を持つ大型機Tu-142を目視できるまで近づくと、かえって心が落ち着くこともあるそうです。ロシア機からも乗員がこちらの写真を撮ったり、手を振ったりする姿を見られることもあるといいます。

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緊急発進の対象となったロシア機および中国機の飛行パターン例(画像:統合幕僚監部)。

 Tu-142、Tu-95という機体は1956(昭和31)年から使われている長寿機で「トウキョウエクスプレス」の常連です。一方「出迎える」日本の戦闘機はF-86、F-104、F-4EJ、F-2、F-15Jと世代交代し、もうすぐF-35Aが加わろうとしています。こうして機体列伝を見ても「トウキョウエクスプレス」の歴史がわかります。東京から指呼の先にある高空で、実弾を抱えた日本の戦闘機と外国機が「せめぎあい」をしていることを我々が感じることはありませんが、遠い世界ではないことは確かです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. トルコは撃墜してたのに