特急「あずさ」新型E353系どこが優れているのか? 斬新、高機能、速度向上担うホープ(写真51枚)

車体の「傾き方」が変わった

「高機能」は車内のサービス設備から走行方式まで多岐にわたるといえます。乗客向けの設備としては、電源コンセントを窓側だけでなく通路側の席にも設置。窓側席に座れなくても安心してコンセントを使えるようになりました。また、一部の車両には大きな荷物を置けるスペースが設置され、訪日外国人観光客の増加に対応しています。

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松本駅で開催された式典の様子(2018年11月3日、草町義和撮影)。

 車体を傾けることで急なカーブを速く走る車体傾斜装置は、E351系に続いて導入されました。ただしE351系は遠心力で車体を傾ける「振り子式」だったのに対し、E353系は「空気バネ式」を採用。台車の上に設置されている空気バネを空気の出し入れによって伸び縮みさせ、車体を傾けます。

 これに加えてアンチローリング装置も搭載し、傾斜角度の精度を向上。車体が傾いたときにパンタグラフが架線から外れないようにしています。さらにフルアクティブ動揺防止装置も搭載して、乗り心地の向上が図られました。

 ちなみに、E353系の傾斜角度は最大1.5度でE351系(5度)より小さいですが、E351系と同等の速度でカーブを走れるといいます。こうしたことから、友の会はE353系を「急曲線線区のスピードアップを担うホープ」としたのです。

 久保さんは「古い歴史と文化と素晴らしい景観を持つ信州で、E353系が大勢のお客さんを運んで喜んでいただけるのではないかと期待しています」とあいさつ。車両のデザインを担当した「KEN OKUYAMA DESIGN」ディレクターの平田洋一さんは、「先頭に(車両間の通り抜けに使う)ドアと運転台を設けつつシャープなデザインにできるか、車両メーカーと激しいやり取りをしました。最終的にはミリ単位で詰めていって、まとめることができました」と語り、デザインの苦労を振り返っていました。

【了】

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Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

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2件のコメント

  1. いい車両と思うが、顔は成田エクスプレスE259系の方がよかったかな…

  2. >E353系の傾斜角度は最大1.5度でE351系(5度)より小さいですが、E351系と同等の速度でカーブを走れる

    これがなぜ可能なのかさっぱり分かりません。傾斜角度が小さいのに同じ速度で走るならカント不足の打消しを必要量の3割しかおこなえないのではないでしょうか。乗客に不快な横Gを我慢させる結果にならないのでしょうか。