結石治療と対戦車兵器の数奇な関係 航空機メーカーの失敗がもたらした大きな恩恵とは

名の知れた企業が、出自は別業界というのは珍しくありませんが、航空機メーカーが兵器開発に失敗し、そこから医療機器で名を馳せるのはレアケースかもしれません。独ドルニエ社のたどった失敗と成功のお話。

衝撃波が人体に与える影響の研究

 このドルニエ社。戦後もドルニエシステム社として続いていますが、自社設計の軍用機を大量に製造していた戦中とは異なり、航空機メーカーとしてはだいぶ規模が縮小しています。しかし、社内では航空機の衝撃波に関する研究などが行われていました。

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ドルニエ社のフォークト博士が指導した土居武夫により設計された「飛燕」。写真は、かかみがはら航空宇宙博物館(岐阜県各務原市)の展示機(石動竜仁撮影)。

「衝撃波」とは、「音速以上の速さで伝わる強烈な圧力変化の波(小学館『デジタル大辞泉』)」のことで、たとえば火山の噴火の際などに、爆発によって周囲の空気が瞬時に圧縮され、それが音より速く周囲に伝播する様が見られます。

 この衝撃波の研究のなかには、戦車内の乗員に対する衝撃波の影響を調べる研究も行われていました。時代は冷戦真っただなか。ドイツは東西に分割され、西ドイツは強大なソ連戦車部隊と対峙しており、衝撃波を使った対戦車兵器が検討されていたのです。

 この研究のなかで、衝撃波に関する次の特性が明らかになりました。

・衝撃波は水中ではほとんど減衰せずに伝播するが、空気中ではエネルギー損失が大きい。また、水中では衝撃波を焦点に集めることができる。

・衝撃波は肺以外のほとんどの生体組織に障害を与えない。

・結晶体のような脆い物質は生体内で、周囲組織に障害を与えることなく衝撃波により破砕される。

・生体組織を通過する際の衝撃波の減衰は超音波よりもはるかに少ない。

 この研究結果から、戦車内の乗員に対して衝撃波を兵器に使うことは難しい、ということが分かりました。

 ではほかのことに使えないか、1969(昭和44)年にドルニエ社にてエンジニアによる研究成果の検討が行われ、その後の夕食会の席では水中の潜水艦に対して衝撃波は有効ではないかと話し合われていましたが、そのなかで人体中の結石を衝撃波で破壊することができるのではないか、というアイデアが出てきたそうです。

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コメント

1件のコメント

  1. 全然知りませんでしたが、とても良い話ですね。

    もっと日本で知られて広まるべきでしょう。

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