日本唯一となった「海をゆく路線バス」鹿児島に バスに乗ったままフェリーに「乗船」

近くて遠い「鹿屋~鹿児島」

 鹿屋市には1987(昭和62)年まで鉄道がありました。日南線の志布志駅(鹿児島県志布志市)から鹿屋、垂水を経て日豊本線の国分駅(同・霧島市)までを結ぶ国鉄大隅線です。廃止当時は、鹿屋から鹿児島まで約2時間で直通する快速が、1日1往復運行されていました。

 当時から、フェリーを経由して鹿屋から鹿児島市へ向かうこともできましたが、鹿屋からバスで1時間近くかけて垂水港へ向かい、フェリーに乗船し、鴨池港からまたバスでと、多くの乗り換えが必要になります。それぞれで乗車待ち、乗船待ちの時間が生じますし、港では長い通路を歩かなければなりません。

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バスは鴨池港でスロープ板を渡りフェリーに乗り込む。この時点ではバスの乗客は乗車したまま(oleolesaggy撮影)。

 このため鹿屋市は、九州新幹線が開通したのを契機に、フェリーにそのまま乗り込む「鹿児島への直通バス」の導入を検討。 これは、鹿屋市民の大きな期待を集めました。2009(平成21)年3月に公表された「鹿屋市地域公共交通連携計画」のアンケート調査では、特に50歳以上の市民の8割以上が「直通バスがあれば必ず利用する」と答えています。この結果を踏まえ、同年12月には「大隅半島直行バス」の運行に漕ぎつけたのです。

 ただし、当初は3年間の「実証運行」として5往復でスタートし、市による1便あたりの乗車率予想も8名程度とかなり控えめでした。しかし、蓋を開けてみれば平均14名以上と、ほぼ倍のペースで推移し、利用者からの評判も上々。2018年12月末現在は6往復となっており、年末年始などには2台体制で運行される便もあります。

【写真】出航後は長蛇の列! 垂水鴨池フェリーの「うどん」

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