本当に実現間近か ヘリ老舗が「空飛ぶタクシー」で示す未来の都市交通のあり方とは

社会のほうに受け入れる準備も必要

 一方で「空飛ぶタクシー」の、実現に至るまでに解決すべき課題は少なくありません。

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シート配列は最前に1席、中央と後列に2席ずつの3列。写真は後席シート(2019年1月、会田 肇撮影)。
室内天井の大型スクリーンに空が見え、地図を含む映像が映し出されていた(2019年1月、会田 肇撮影)。
「ネクサス」はスマートフォンでオンデマンド予約し、指定のポートで搭乗する(画像:ベル)。

 まずパイロットの問題。都市交通として身近な存在になるには、より多くの機体が投入される必要があり、航空業界でパイロット不足が深刻化しているなかで、それに対応できるのかという懸念があります。これについてベルは、「『ネクサス』は最初の設計段階から、自律運航機体として設計されている」としており、当初はパイロットによる操縦であっても将来はそれを自動化し、これが解決へとつながっていくと見ているようです。

 それから「空飛ぶタクシー」そのものの、運航上の問題もあります。新たなカテゴリーの乗りものに対して、航空当局がどのような規制をかけてくるのか、そのあたりはまだ見当すらつかない段階です。さらに言えば、社会的にも受け入れてもらえる信頼性を築き上げていく必要もあります。これについてベルは、「市場導入の初期の段階では、搭乗される方の信頼度を高めることに努め、社会においてこのような機体の受け入れが確立されるまで、安全上、パイロットの搭乗が必要と考えている」と説明しています。

 とはいえ、世界的に「ライドシェア(自動車の相乗り、あるいはそのマッチングサービス)」が広まっているなか、ここに空への選択肢が増えれば、渋滞が慢性化しつつある都市において、その便利さは格段にアップすることでしょう。移動が必要になったらスマートフォンを取り出してアプリを起動、メニューが表示され、所要時間を確認しながら陸から行くか空から行くかを選択する――そんな時代がまもなく実現しようとしているのです。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. アメリカの郊外ならともかく、日本においては、タクシーのような使い方は現状では出来ない。
    結局、ヘリポートや空港など決められた場所から、決められた場所まで。
    都会や住宅地のすぐ近くなどに着陸するとなると騒音、風、などさまざまな障害がある。
    航空法でも全ての場所を場外の離着陸場になど出来ない。
    また、どんな気象条件の時に飛行できないのかなどの問題もある。
    地上のタクシー並の就航率でないと、お客にそっぽを向かれてしまう。
    「アイランドエアシャトル」を除いてヘリコプターの定期便がないのはそのため。
    日本でも可能なように、研究をして欲しい。