最近聞かないソマリア海賊 海自哨戒機パイロットに聞く、その対処の「現場」とは?

海賊発見、でも緊張感は「ちょっと」

 小笠原1尉は2013年から2014年にかけての約4か月間、「第14次派遣海賊対処行動航空隊」として、ジブチへ派遣されました。

「我々の主要任務は、ソマリア沖・アデン湾にて海上の警戒監視を実施しまして、不審な船などがありましたら、関係各国と情報共有することにありました。約10か国程度で活動していますから、英語が共通語であり、司令部を通じて情報の伝達を行っていました」(小笠原1尉)

 小笠原1尉は続けて警戒監視任務中、実際に「海賊らしい船を発見した」時の状況について語ってくれました。それは2014年1月18日のことだったと言います。

「海上自衛隊の護衛艦(『さみだれ』)が、航行中のタンカーへの襲撃に関する情報を得たので、まずその艦載ヘリが先行して現場へ向かいました。この情報は私たちに引き継がれ、足の速いP-3Cで現場に急行したところ、海賊船の疑いがあるダウ船(木造帆船)を発見し、付近にいたフランス海軍艦艇(ソマリア派遣EU海軍に参加していた、フランス海軍フードル級揚陸艦『シロッコ』)へ情報共有を行いました」(小笠原1尉)

Large 190123 pir 02

拡大画像

小笠原1尉が搭乗したP-3Cからの通報によって制圧された海賊船(左)と、フランス海軍揚陸艦「シロッコ」(画像:ソマリア派遣EU海軍)。

 実際に海賊に遭遇して緊張感は無かったのでしょうか。「実の任務に対応しますので、それはちょっと緊張感が出てくるところはあります」と小笠原1尉は答えましたが、筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は、思ったよりもあっさりした返答だな、という印象を受けました。そしてすぐに、日々積み重ねた訓練があるからこそ、海賊船への遭遇も、普段どおりにこなしたに過ぎなかったのだろうと理解しました。

 なお、小笠原1尉が搭乗するP-3Cから情報を引き継いだ「シロッコ」は、このダウを、海賊船の疑いが強いとして急襲部隊を送り制圧。ソマリア海賊5人を拘束することに成功し、タンカー乗っ取りは未遂に終わりました。

 ソマリア派遣EU海軍のブレージン提督は、この件に関し「偉大な国際協調の成果だ。我々、海賊対処部隊が任務に全力を尽くしている限り、海賊どもに安全な場所はないだろう」と述べ、海上自衛隊とフランス海軍の連携によって達成された成果に、最大限の賛辞を送っています。

この記事の画像をもっと見る(4枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. 韓国海軍が介入して法則が発動する前に