【空から撮った鉄道】初の大阪空撮は新幹線の車両基地 大学時代に見慣れた街を上空から

はじめての大阪の空撮は、東海道新幹線の鳥飼車両基地と梅小路蒸気機関車館(当時)でした。同じ新幹線の車両でも東京では見られない形式の車両があり、新鮮な気持ちで空撮した思い出があります。

書籍化のための作品づくりで撮影

 大阪は、大学時代に住んでいたこともあり身近なところです。ところが空撮を始めてからというものの、意外と関西圏の撮影はありませんでした。空撮会社に在籍していたときは大阪に支社があったので、関西から西日本方面はもっぱら大阪支社が撮影を行っていたからです。

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南東側から撮影した鳥飼車両基地。画面左が新大阪方面で、右が東京方面。コンテナが置かれている場所がJR貨物の大阪貨物ターミナル駅(2012年5月12日、吉永陽一撮影)。

 本格的に鉄道の空撮に取り組んでからも、しばらくは東京中心に撮影をしていました。転機が訪れたのは2012年のこと。初個展の作品をベースにして書籍化をすることとなり、関東以外の鉄道施設の空撮が必要になったのです。こうして初めての大阪空撮は、つい最近の2012(平成24)年となりました。

 大阪で空撮するときは八尾空港(大阪府八尾市)を使います。飛行場はヘリポートを含めると、ほかの場所にもありますが、セスナ機のような固定翼機を使う場合、おおかた八尾空港です。

初めて出会ったパイロットは鉄道好きだった!

「初」ということは、使用する航空会社とも初めての出会いになります。実際に会って細かく鉄道空撮のことを説明して、「なるほど!」とパイロットはイメージをつかんでくれました。幸いにも担当パイロットは鉄道好きだったので、話がスムーズにいったのです。

 初めての地を空撮するのは、地形や街の形成に不慣れなこともあり、上空観察にはかなり神経を使います。パッと目を離したあとでもどこを飛んでいるか、瞬時に分からなければなりません。GPSはありますが、アナログの地図を見て理解するのも大切です。何度か現在位置を瞬時に把握できなかったこともありました。ただ、大阪に関しては住んでいたことがプラスとなり、離陸した直後からも大体の場所を把握したまま空を飛ぶことができました。大学時代に見慣れていた街を、いま上空から眺めている……ちょっと不思議な感覚です。

 鳥飼車両基地(大阪府摂津市)は、八尾からだと通称「中環(ちゅうかん)」と呼ばれる、大阪府道2号を北上していくと見えてきます。撮影日は雲がありつつも視程のいい晴れで、清々しい天候でした。そのため遠くからでも、新幹線が淀川の先でズラッと並んでいるのが視認できます。パイロットは鳥飼がどういう施設か熟知しており、形式で伝えてもわかるので、機内で説明する必要はありません。

施設の全景撮影は必須

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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