東京メトロと都営、なぜ共存? 東京都心を走る地下鉄、一元化はあるのか

東京都心は東京メトロと都営地下鉄のふたつの地下鉄が走っていますが、運賃をはじめとしたサービスは別々です。ふたつの事業者が共存する状況になったのには、地下鉄建設を巡る主導権争いがありました。

複数の組織が地下鉄建設を進めた都市、海外にも

 その後、1980年代の国鉄民営化、1990年代の営団民営化の議論において、幾度となく地下鉄一元化が提案されるも、莫大な借金を抱え、赤字に苦しむ都営地下鉄を営団が救済するのはおかしいと退けられてしまいます。そして建設費調達のために設立された営団地下鉄は、建設の終了に伴って民営化されることが決まり、早期に上場されることになりました。しかし東京都は、東京メトロ株をいまなお売却していません。東京メトロが上場してしまったら、企業価値を毀損する都営地下鉄との統合が将来にわたって不可能になるためです。

 都営地下鉄は2006(平成18)年、開業46年目にしてようやく黒字化を達成し、2016年には大江戸線も路線単体で黒字化するなど、収支が劇的に改善しつつあります。このペースで行けば、10年以内に累積欠損を解消できる見通しとなったことから、再び一元化に向けた議論が浮上する可能性も残されています。

 ところで営団と都営のように、複数の組織が地下鉄建設を進めた事例は他国にも存在します。パリ、北京、上海、ソウルなどには複数の地下鉄事業者が存在しますが、いずれも共通の運賃制度を採用しており、利用者は事業者の違いを意識せずにひとつのネットワークとして利用しています。「地下鉄一元化」とは運賃をはじめとしたサービスの共通化であり、必ずしもイコール経営統合を意味するものではないことに注意が必要です。

 東京もここ10年で東京メトロと都営地下鉄の「サービスの一体化」が進んでいますが、目指すべきは「地下鉄」の一体化だけではありません。今後は、JRや私鉄、バスやその他の新しい交通機関とも一体的なサービスの実現に向けた努力が求められる時代がやってくることでしょう。

【了】

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コメント

7件のコメント

  1. あ、かの有名な九段下駅の「バカの壁」ですね。

    一元化の話が早く進めばいろんな駅で乗り換えがもっと楽に安く済むから、わざわざ都営線オンリーで行こうとか考えなくてもよくなるんだろうなあ。

    そして都営新宿線が「都営新宿駅」と間違ってますよ。

    記事編集お疲れ様さまです。

    • ご指摘ありがとうございます。 訂正いたしました。

  2. 営団が黒字になりにくそうな路線の建設を渋ったってのが載ってない・・・

  3. 利用者から見れば都営は時間どおりに来ないし運賃高いし、駅はつまらないしで、会社や自宅が最寄り駅だと不運で不幸。存在する意義はもはや無いから、さっさとメトロに吸収されて欲しい。

  4. 失礼ですが、2ページ目の記述はあまり正しいとはいえません。

    ・「陸上交通事業調整法」(1938年施行)および戦後の「都市交通審議会答申」(1955~1972年)に言及されていない。

    ・市電→都電の稠密なネットワークと、それを基にした東京市街の発展、および当時を生きていた人たちの暮らしぶりが反映されていない。

    この書き方では地下鉄開業後にも市電・都電の路線がいくつか開通していること、王子電気軌道(荒川線の前身)など1932年以前は「東京府下」とされていた旧江戸地域周辺町村で営業していた路面電車路線を買収したこと、戦後トロリーバス事業を始めたことなどを説明できません。

    東京市電気局(東京都交通局)の資金難は、1911年(明治44年)に当時の市内ほぼ全域で路面電車事業を行っていた民間会社を買収した際に発行した債券の償還に数十年の時間がかかったことに始まります。初の地下鉄開業の頃は民間の乗合自動車(路線バス)事業者が乱立して、市電の乗客が減ったことにも苦しみました。その時代の電気局の幹部で、個人的に将来の高速地下鉄道公営化を夢見る人はいたかもしれませんが、組織として建設の意向を出せる段階ではありません。国鉄(鉄道省)でも丹那トンネルや清水トンネルの建設に苦労していた時代で、シールド工法や、低地軟弱地盤の地下路線建設技術もまだ完成していません。

    陸上交通事業調整法において、東京市内中心部は地上交通を東京市、地下交通を政府出資の新会社(営団)が担うという役割分担が決まりました。電気局改め交通局はそれに従って路面電車・バス事業を展開しました。

    今の地下鉄路線整備の根拠は、1950年代から1960年代にかけて都市交通審議会が運輸大臣に提出した答申です。戦後「朝鮮戦争特需」を経て、占領からの独立が回復した時期(1952年ごろ)から東京の人口が急増して、都電と営団銀座線・丸ノ内線で提供できるキャパシティをはるかに上回る需要が現れ、自動車の増加で都電の定時性確保が困難になったため、路面軌道交通の地下本格移設が検討されました。そこで東京都は陸上交通事業調整法の原則を曲げて、自力での地下鉄建設・営業に名乗りをあげたという流れです。都電最後の新線開通は1955年(昭和30年)で、その2年後の1957年に提出された都市交通審議会答申第2号において、営団と都交通局による地下高速鉄道整備の方針が正式に盛り込まれました。その際には、既存の都電系統とほぼ重なる路線(6号線、後の三田線や10号線、後の新宿線)は交通局が建設して、一部重複路線は営団が建設する方針が立てられました。

    地下鉄が当たり前になった時代に生まれ育った人は、最初から地下鉄というゴールがあったかのように思いがちですが、そうではありません。昭和30年代までは都電が当たり前で、地下鉄は「夢の乗り物」だったのです。昭和の戦中戦後を生きた先人たちが歩んだ道への敬意を払っていただければ嬉しく存じます。

  5. 皆さんが書かれているように、強盗メトロの記事が載っていませんね。

    メトロは、1日でも早く都営に吸収され、今日も明日も、都の収入がメトロに行ってしまっている現状を早期に解決しないと、都民の税金がメトロに奪われてしまう。

    メトロは、美味しい部分しか担っていないので、都民に評判悪い。

    はやく、都に吸収される義務がある。

  6. JRは二つの会社にまたがっての利用でも初乗り運賃の二重取りはしない。乗車券は一枚の通しで行ける。同じ事を都営とメトロの間でやってくれればそれでいい。

    経営の統合とかは不要。むしろ独占企業になるとアグラをかいてサービスが低下することを懸念する。

    (JRも電子マネーでは通しで乗れないのは何とかしてほしいが。)

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