速い速い駆逐艦「島風」! 旧海軍がスピードを追及した理由と、一点モノで終了のワケ

小型艇などはともあれ、3000トンクラスの艦船で40ノット(約74km/h)を出すとなると、21世紀のいまでも相当速いといえるでしょう。旧日本海軍が駆逐艦「島風(2代目)」で目指したものは、そうしたハイレベルの速さでした。

もてあました秘密兵器「酸素魚雷」

「島風」は発射できる魚雷の多さもポイントで、5連装魚雷発射機を船体中央に3基搭載して左右舷どちらにも15発が発射できました。これは従来の駆逐艦の2隻ぶんに相当する威力で、重雷装艦「北上」「大井」の20発に次ぐものでした。

 搭載した「九三式魚雷」は48ノットで射程2万mにも及ぶもので、それまでの「九〇式魚雷」と比較しても、射程は約3倍を誇りました。しかし48ノットで2万m進むには約13.5分掛かり、最大射程で移動目標に命中させるのは至難であることがわかります。1940(昭和15)年と41(昭和16)年に実施された水雷演習でも、遠距離雷撃は効果が薄いと判定されています。敵の距離や位置を正確に測る高性能測距機や射撃管制能力を持つ巡洋艦クラスならともかく、駆逐艦クラスにはオーバースペック気味であり、「島風」に搭載された雷撃発射指揮装置も従来の短射程魚雷搭載駆逐艦と同じものだったため、遠距離雷撃の有効性に疑問が呈されるようになります。

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1944年11月11日、オルモック湾で空襲を受ける「島風」。このあと撃沈される(画像:アメリカ海軍)。

 戦艦同士の決戦が起こらず「漸減作戦」の可能性も低くなると、水雷熱は急速に冷めていきます。「島風」同型艦は16隻建造される計画でしたが、実際には1943(昭和18)年5月に竣工した「島風」1隻のみとなります。初陣は1943年7月の「キスカ島撤退作戦」で、レーダーを装備し、俊足であったことから、第一水雷戦隊司令官の木村昌福少将が特に要望したと言われます。霧にまぎれながらの作戦は困難でしたが、陸海軍将兵5000名以上の撤退に成功しました。

 その後は艦隊や輸送船団護衛任務がほとんどで、1944(昭和19)年10月24日の「レイテ沖海戦」では、撃沈された戦艦「武蔵」の救援も行っています。この時期、制空権はアメリカが握っており、期待されていた重雷装も俊足も存分に発揮する機会は訪れず、1944年11月11日にフィリピン中部レイテ島北西部のオルモック湾で空襲を受け、撃沈されます。竣工から1年6か月後のことでした。

【了】

※一部修正しました(2019年12月10日12時)

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