速い速い駆逐艦「島風」! 旧海軍がスピードを追及した理由と、一点モノで終了のワケ

小型艇などはともあれ、3000トンクラスの艦船で40ノット(約74km/h)を出すとなると、21世紀のいまでも相当速いといえるでしょう。旧日本海軍が駆逐艦「島風(2代目)」で目指したものは、そうしたハイレベルの速さでした。

艦艇設計に影響を与えたふたつの大事件

 1934(昭和9)年3月12日に発生した「友鶴事件」では、艦体傾斜90度から110度まで耐えられるはずだった千鳥型水雷艇「友鶴」が、わずか40度の傾斜で転覆沈没し、死者72名、行方不明者28名を出します。その1年後の1935年9月26日に発生した「第四艦隊事件」では、演習中の第四艦隊が台風に遭遇し、沈没こそありませんでしたが41隻中19隻が損傷、艦首切断や艦橋破壊など大破した艦もあり、死者54名を出しました。

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旧日本海軍の水雷艇「友鶴」。「友鶴事件」「第四艦隊事件」を受けた改善工事が施されたのちの、上海で撮影された姿(画像:アメリカ海軍)。

「友鶴事件」「第四艦隊事件」の2大事件は日本海軍を震撼させます。その原因として艦の安定性不足、強度不足など、それまでの艦艇設計に無理があることが明らかになったのです。多くの艦で安全対策工事が行われ、船体の強化改造、武装の削減などが行われた結果、主力駆逐艦となることが期待された吹雪型でも、38ノットから35ノットまで速力が低下しました。

 ちなみに、その後、日本海軍は終戦に至るまで、台風で被害を受けることはほとんど無くなりましたが、アメリカ海軍ハルゼー提督指揮下の第3艦隊が1944(昭和19)年12月18日台風(「コブラ台風」または「ハルゼー台風」とも)に遭遇し駆逐艦3隻が沈没、空母8隻ほか13隻が損傷、航空機186機損失、死者790名を出し、半年後の1945(昭和20)年6月5日にも再び台風に巻き込まれ、沈没艦こそ無かったものの35隻が損傷、航空機76機、死者6名の被害を出しています。

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