軽巡洋艦「神通」の一部始終 旧海軍切り込み担当の誉れ 語り継がれるその壮絶な最期

海底に眠る姿が明らかとなった旧日本海軍の軽巡洋艦「神通」。敵艦隊への切り込みを担当する最精鋭を集めた「第二水雷戦隊」で旗艦を長く務め、太平洋戦争では実に多くの作戦に従事した、「最強」のカタチのひとつを体現した艦です。

事件事故で3度も変身

「美保関事件」とは、日本海での艦隊演習中に起きた悲劇的事件のことです。当時、日本海軍は「ワシントン海軍軍縮条約」の制限によるアメリカ、イギリスとの戦力的劣勢を補うため、日夜猛訓練を繰り返していました。

 特に重視されたのが夜戦訓練だったのですが、当然、夜間は昼間と違って視界が狭くなり、見通しもきかなくなるため、危険性は増大します。そうしたなか1927(昭和2)年8月24日夜半、島根県東端の美保関(地蔵崎)沖合にて、無灯火で夜間演習中だった「神通」は、暗夜の中で駆逐艦「蕨(わらび)」と衝突し、同艦を沈没させてしまいました。しかもこの時、「神通」を回避しようとした僚艦の「那珂」も、同じく「蕨」の僚艦「葦(あし)」と衝突してしまったのです。

「神通」は艦首下部を大きく失うほどの損傷を受け、とりあえず一番近い鎮守府である舞鶴で修理を受けました。この時に、従来の「スプーンバウ」(艦首の形のひとつ)は凌波性(波をしのいで艦が安定し航走できる性能)が悪かったために、近代的な「ダブルカーブドバウ」へ改められ、これによりほかの5500トン軽巡とは艦形を異にしています。

 そして1932(昭和7)年初頭には、艦橋前面に水上機射出用のカタパルトを装備する工事を受け、さらにその運用結果などから、1933(昭和8)年11月から翌34(昭和9)年7月までの大規模改装において、カタパルトを艦体後部に移設し、それにともなって後部マストの大型化並びに水上機揚収用のデリック(クレーンの一種)の増設、後部の七番主砲の移設、甲板の拡大などが行われました。そして、これら一連の改装で排水量は当初の約5500トンから約7000トンにまで増えています。

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