博多駅に直接乗り入れていた筑肥線、その名残をたどる 利用者が多くても廃止の理由

筑肥線に引導を渡した43か所の「交差」

 しかし、沿線の発展が、筑肥線 博多~姪浜間の存続を逆に難しくしました。この区間は「名だたる渋滞個所をふくめて43か所もの踏切があり福岡市の都市計画に関連して廃止せざるをえなかった」(『鉄道ジャーナル』1985年3月号)といいます。

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筑肥線跡地を再整備した筑肥新道の周囲は民家やマンションが立ち並ぶ(2019年5月、草町義和撮影)。

 筑肥線の博多~姪浜間は地面に線路が敷かれていて、高架橋や地下トンネルの部分はひとつもありませんでした。そのため、道路との交差はほとんど踏切になっていて、人口の増加により道路の交通量も増えると、踏切付近の渋滞が激しくなったのです。

 一方、福岡市は1975(昭和50)年、博多駅から繁華街の天神など市内の北側を通って、筑肥線の姪浜駅に接続する地下鉄(現在の福岡市営地下鉄空港線の一部)の工事を開始。市内南西部を通る筑肥線の博多~姪浜間とは途中のルートが異なるものの、地下鉄が完成すれば、博多~姪浜間に「踏切のない鉄道」が出現することになります。国鉄と福岡市は1977(昭和52)年、筑肥線 博多~姪浜間の廃止に関する覚書に調印。建設中の地下鉄を事実上、筑肥線 博多~姪浜間の踏切解消策としたのです。

 こうして1981(昭和56)年から1983(昭和58)年にかけ、博多~姪浜間の地下鉄が開業。筑肥線は姪浜以西が電化されて地下鉄との相互直通運転が始まり、博多~姪浜間が廃止されました。廃止に反対する沿線住民の声もありましたが、その対策として代替バス(3ルート)が運行を開始。将来的には線路の跡地を道路の整備に活用することも沿線住民に提示されました。こうして筑肥新道などが整備されたのです。

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筑肥線に代わって博多~姪浜間を結ぶ福岡市営地下鉄空港線。
福岡の中心部と南西部は福岡市営地下鉄七隈線で結ばれている。
七隈線の別府駅。筑肥線廃止区間の鳥飼駅跡(城南区役所)に近い。

 2005(平成17)年には、天神エリアの天神南駅と市内南西部の橋本駅を結ぶ、福岡市営地下鉄七隈線が開業。途中の別府駅(福岡市城南区)は、筑肥線の廃止区間内にあった鳥飼駅のすぐ近くに整備され、これも事実上の代替交通機関といえるでしょう。いまのところ別府駅から博多駅へ直接行くことはできませんが、2022年度に延伸区間の天神南~博多間が開業する予定です。

【了】

※一部修正しました(9月10日18時02分)。

【地図】筑肥線の廃止区間、どこを通っていた?

Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

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コメント

7件のコメント

  1. 誤1:城北区役所
    正1:城南区役所
    誤2:道路との交差はすべて踏切
    正2:小笹にアンダーパス、美野島にオーバーパスあり

    • ×正2:小笹にアンダーパス、美野島にオーバーパスあり
      ○正2:小笹にアンダーパス、美野島と別府にオーバーパスあり

    • ご指摘ありがとうございます。 訂正いたしました。

  2. タイトルだと地下鉄乗り入れが廃止かと思って本文記事読んだが、騙された。読んで損した。今後は、このサイトは、タイトル騙し系サイト、信用できないサイト、読んで損する可能性が高いサイトという扱いにするわ。

  3. ユーチューブで踏切事故のニュースを見て調べてたら、一部分が廃止されてたんだ

  4. 小笹駅付近は丘陵地形の関係で線路が少し高いところを通っており高架のようになっていたため、その下を道路が通っていました。したがって道路を掘り下げた訳ではなく、一般的なアンダーパスではありません。
    また、美野島と別府(べふ)のオーバーパスはどちらも幹線道路(国道)が高架橋で線路を越えていました。これらはいずれも筑肥線の部分廃止から約40年経った今でも高架橋として残っています(今となっては高架である必要はありません)。なお、美野島の高架橋の下には、今でも筑肥線のディーゼルカーの排気ガスの跡が黒く線状に残っています。
    西鉄平尾駅では、少しだけ遅れて開業した西鉄が筑肥線の上を高架でオーバーパスしていました。筑肥線廃止後、西鉄は平尾駅を含む区間が連続立体化されました。このため平尾駅付近だけは以前の土盛りのままで、他の区間のコンクリート橋の構造とは異なっています。
    「○○筑肥橋」はほかにも2箇所あります。樋井川筑肥橋と室見川筑肥橋です。

    • >小笹駅付近は丘陵地形の関係で線路が少し高いところを通っており高架のようにな
      >っていたため、その下を道路が通っていました。したがって道路を掘り下げた訳で
      >はなく、一般的なアンダーパスではありません。

      筑肥新道の高さが線路だったため、現在の小笹北交差点はアンダーパスでした。