陸自73式装甲車が半世紀近く現役のワケ ほかの車両で代替できない、その役割とは?

その強みは「戦車にもついていけること」

 先に触れたアメリカでの日米共同訓練では、73式装甲車が「移動指揮所」としての実力を発揮していました。

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写真中の73式装甲車に、車内天井をかさ上げする防弾板が見える(武若雅哉撮影)。
アメリカの広大な演習場で訓練に参加する73式装甲車(武若雅哉撮影)。
砂漠で訓練する時は、現地の砂を車体に塗って偽装する(武若雅哉撮影)。

 この訓練は戦車が中心となって行動することを前提にした訓練であったため、部隊はおもに装軌(いわゆるキャタピラー)車両で編成されていました。

 東京都の面積とほぼ同じ大きさの規模を持つ、カリフォルニア州のNTC(ナショナル・トレーニングセンター)で繰り広げられたアメリカでの訓練。広大な敷地は一見すると砂漠のように見えるのですが、実は遥か昔は海底であったことから、“砂”漠というよりは堆積したプランクトンなどが固まってできた“土”漠のような感じで、意外と起伏が激しくゴツゴツした地表面をしています。こうした環境ではやはり、タイヤのついた装輪車よりも装軌車のほうが移動しやすいもので、グングン進んでいく90式戦車に追従するのは、73式装甲車が得意とするところでもあります。

 ちなみに陸上自衛隊の「移動指揮車」といえば、「82式指揮通信車」や前途の「96式装輪装甲車」などが挙がりますが、これらはタイヤを装着した装輪式のため、悪路を進む戦車に追従するのは難しい場合があります。

【写真】具体的に何をしているかはヒミツ、73式装甲車の電子戦仕様

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コメント

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3件のコメント

  1. 昔不法改造して73式装甲車の天井が高い指揮司令車が1回だけ世間に出たことがあるな。
    なお、財務省から”予算を受けて買ったものを勝手に改造してはいけない。”と文句を言われて元に戻したことがあったけどな。

    • なんだその「天皇陛下から賜った装備を勝手に改造とは不敬である!」みたいなわけわからん難癖は……。

  2. この手の装軌式車両が必要とされてないから新規開発してないんでしょ。本当に必要だったら放置されてないよね。防衛省も他の国も必要とされてないから減っていく一方。まずその事実を踏まえて記事にするべきだったな。必要とされて無いんだよ。なぜ必要とされなくなったかが重要で、記事にしないと古い車両の郷愁だけになってしまっている。