日本唯一、砂浜をゆく高速バス 「北陸道グラン昼特急」和倉温泉行き特別便がスゴイ!

能登のライバルは能登? 七尾市が特別便に寄せる期待

 能登半島の西側から東側へと横断し、和倉の温泉街に入ったバスは、「海望」「あえの風」「のと楽」「寿苑」「「美湾荘」「松乃碧」など、主要な旅館へこまめに停車し、そのたびに仲居さんの見送りを受けます。和倉温泉の源泉に近い「加賀屋」前が終点で、16時18分の到着です。チェックインにはやや早い時間かもしれませんが、バスを降りて目の前にある源泉で塩気が絶妙の温泉卵を作ったり、温泉街で湯巡りをしたり、スイーツを芸術として楽しむ「ル・ミュゼ・ドゥ・アッシュ(辻口博啓美術館)」といったスポットを散策したりすれば、時間が経つのは早そうです。

 この「北陸道グラン昼特急大阪号」の和倉温泉行きは、2018年3月に誕生しました。和倉温泉のある七尾市も、この高速バスに期待を寄せていますが、その背景には、激しさを増す「観光地どうしの競争」があります。

 2015年に北陸新幹線の長野~金沢間が開業すると、石川県内ではほとんどの観光地で客足が増加しました。七尾市が位置する能登半島中部の中能登地方もそのひとつで、新幹線開業後に運行を開始したJR七尾線の「花嫁のれん」(金沢~和倉温泉)、それに接続するのと鉄道の「のと里山里海号」(七尾~和倉温泉~穴水)といった観光列車も好調を保っています。

 しかし、前述したように新幹線開業後の観光客増は県内全域で見られ、たとえば能登半島の北側に位置する奥能登地方(輪島市、珠洲市など)でも同様です。輪島市の「輪島朝市」「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」といった人気スポットを抱える奥能登ですが、現在は七尾から奥能登へ直通する交通機関がなく、のと鉄道で終点の穴水駅(石川県穴水町)まで北上し、そこから一般路線バスに乗り換えて輪島や珠洲に向かうなど、同じ能登半島の中でも若干回遊しづらい状況にあります。

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「北陸道グラン昼特急大阪号」には、夜行「グランドリーム号」の車両が使われる(2019年5月、宮武和多哉撮影)。

 このため、奥能登へ向かう観光客は、金沢駅から直通する高速バスを利用することが多く、その手前に位置する中能登地方は、想定ほど客数が伸びないケースもあったそうです。和倉温泉のある温泉旅館の従業員は、「『花嫁のれん』や『のと里山里海号』の乗客も、途中の和倉温泉になかなか滞在してくれない」と話していました。

【写真】「バスが砂浜へ突入」の一部始終

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コメント

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3件のコメント

  1. チト車には厳しい環境だが良いアイディアだな

    • なんといっても砂の上だし、素人目には確かに不安になりますな。

  2. 毎回興味深く楽しい記事を配信有り難うございます。
    2019年7月5日「日本唯一、砂浜をゆく高速バス 「北陸道グラン昼特急」和倉温泉行き特別便がスゴイ!」の
    記事に添付写真の脚注について誤りがあります。
    8枚目の写真に和倉温泉の源泉を記念する施設「涌浦乃湯壺」が添付されていますが、脚注では「湧浦乃湯」と記載されています。単なる変換ミスだと思いますので、機会があれば訂正お願いします。