「羽田空港アクセス線」、工事区間のいまとダイヤを予想する

2019年5月15日にJR東日本から東京都に「『羽田空港アクセス線(仮称)整備事業』環境影響評価調査計画書」が出されました。今回はダイヤ予想を昼間のみにとどめつつ、どういう工事が行われるのかを中心に現地の写真とともにお伝えします。

休止となった東海道貨物線を活用

 羽田空港アクセス線(仮称)は、2014(平成26)年8月にJR東日本から発表された新線計画です。上野・東京方面から東海道貨物線を経由して羽田空港へ至る「東山手ルート」、新宿方面からはりんかい線と東京貨物ターミナルへの地下線を活用した「西山手ルート」、そして新木場方面からりんかい線と東京貨物ターミナルへの地下線を活用した「臨海部ルート」の3つのルートが構想されています。

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田町駅南側で大汐線と東海道新幹線の回送線は東海道本線と東海道新幹線から離れ、東京貨物ターミナル方面へ向かう。写真の新幹線は大井車両基地から回送で東京駅に向かう。大汐線は手前側にある使われていない単線だ(2019年7月、鳴海 侑撮影)。

 総事業費の見積もりは3200億円。当初「臨海部ルート」を2020年の東京五輪までに先行開業させることが期待されましたが、2015年に国土交通省の有識者会議で五輪前開業は工事が間に合わないため困難という結論が出されました。理由としては環境アセスメントなどの手続きに2年半、工事に最短7年かかるためです。

 工事として最も大がかりになるのは、3ルートが合流する東京貨物ターミナルから羽田空港までの約5.0kmで、ここは新線建設になります。そして、今回提出された「『羽田空港アクセス線(仮称)整備事業』環境影響評価調査計画書」では「東山手ルート」から事業着手することになりました。もっとも、「西山手ルート」や「臨海部ルート」は営業するとしても、「東山手ルート」よりも工事部分は少ないので、りんかい線を経由することによる運賃計算のルール策定や車両運用など営業上の課題がクリアされれば、「東山手ルート」の開業後、早期に運用開始される可能性が高いです。

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羽田空港アクセス線(仮称)のルート図。(国土地理院の地図を加工)。

 羽田空港アクセス線(仮称)「東山手ルート」の事業化のため工事を行う区間は12.4km(改良区間約7.4km、建設区間約5.0km)の予定です。開業すれば東京~羽田空港間は18分で結ばれ、運賃は320円となります。現在は東京モノレール経由で650円、京急経由で580円ですので、250円以上の値下がりとなります。また車両は15両編成の予定です。これはJRの東海道本線および上野東京ラインでつながる宇都宮線・高崎線・常磐線で使われている15両編成を入線させるということでしょう。すると、グリーン車が連結されている編成も入線することになり、東京駅から羽田空港までグリーン車で移動ということも可能になりそうです。

 ちなみに、JR東日本は2002(平成14)年に東京モノレールを子会社化していますが、沿線の通勤客が半分を占めることや、旧羽田空港ターミナルの再開発もあるため、羽田空港アクセス線(仮称)とは役割分担ができるとしています。また、今回の羽田空港アクセス線(仮称)は羽田空港国際線ターミナルまでは向かわないことも、東京モノレールに一定の役割が残る部分といえます。

 さて、今回環境アセスメントに着手することになり、新線計画が具体化した羽田空港アクセス線(仮称)の「東山手ルート」ですが、一部既存線を使うとはいえども、大がかりな工事の部分は多くなっています。その既存線の紹介とともに新線のルートを見ていきましょう。

「東山手ルート」は、東京からまず東海道本線を経由し、田町駅付近で連絡線を通って東海道貨物支線の一部、通称「大汐線」に入ります。この「大汐線」というのは、1973(昭和48)年の東京貨物ターミナル駅とともに開業し、汐留駅まで敷かれていた貨物線です。「大汐線」という略称は、東京貨物ターミナルのある「大」井と「汐」留からとられています。

 1986(昭和61)年の汐留駅営業終了と、その後の汐留駅再開発で浜松町~東京貨物ターミナル間に短縮され、浜松町は九州や北海道へ向かう「カートレイン」の乗り場として使われていました。この「カートレイン」というのは専用の貨物コンテナに自家用車を1列車最大27台積載できるというもので、夏期の臨時列車として運行されていました。バブル期には1シーズン2000台以上の利用がありましたが、様々な理由から利用は徐々に低迷。1996(平成8)年度には最盛期の3分の1の利用に落ち込んでしまいます。

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汐留駅跡地は1995年から再開発され、現在ではオフィスやホテルが建ち並ぶ(2019年7月、鳴海 侑撮影)。

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Writer:

1990年、神奈川県生まれ。私鉄沿線で育ち、高校生の時に地方私鉄とまちとの関係性を研究したことをきっかけに全国のまちを訪ね歩いている。現在はまちコトメディア「matinote」をはじめ、複数のwebメディアでまちや交通に関する記事を執筆している。

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